1-1 まずは断罪回避!
マセラティ王国
王宮から程近い所にある、貴族の邸宅が立ち並ぶ地域。
普段は静かで、落ち着いた雰囲気を持つ地域だが、
ある豪邸の庭が解放され、多くの人が交流し、
賑わいを見せていた。
「リリアーナ様、今日もお美しいですわ」
「リリアーナ様、そのお召し物素敵ですわね」
パーティに参加した人は笑顔で、
リリアーナと呼ばれる15歳の令嬢を褒めたたえる。
そこには、もう嫉妬などなく、
あるのは羨望と、あわよくば取り入ろうと言う計算のみ、
この少女に、誰もが敵わない事は、皆熟知していた。
「ありがとうございます、フレッド侯爵夫人、
もしよろしければ、このドレスを仕立てたお店、
ご紹介致しますわ」
フレッド侯爵夫人は、最先端のおしゃれにこだわる人だ、
私の一言で、飛び上がり、喜んでいる事は、
手に取るように分かる。
「ぜひぜひぜひ!」
と、ぜひをひたすら繰り返す夫人に、微笑み場を変える。
ふふふ、これで私の後ろ盾がまた増えたわね。
扇子で口を覆いながら、頭を巡らせる。
公爵令嬢である私に、面と向かって喧嘩を売る馬鹿は
この国にはいないけど、仲間はできるだけ多く
作っておいた方がいいわ・・・
私は公爵令嬢として生まれ、次期王妃に間違いないと言われている、
伯爵家以上の家の令嬢の中で、
王妃教育を全てクリアしたのは私だけだから。
現王妃様には、いずれ義母となる方として、
礼をつくしているので、とても仲がよく、
私が王妃に就く事は当然と思って下さっている。
家柄、容姿、教養、社交、
全てにおいて文句がなく、
周りも納得し、称賛してくれている。
今は15歳、18歳で王子と婚約し、19歳で王妃となる。
この事に、まったく何も疑った事はなかった、あの瞬間までは・・・