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海ぶどう?
「海ぶどう?」
普段食卓に見かけない物があり、隣に腰を下ろした朝月が首を傾げる。
涼火もテーブルの海藻サラダに混ぜられた海ぶどうに目を留めた。
子供二人の反応に、母親はもらい物だと口にし、パッケージを見せてくる。
〝海から遠いところ産の海ぶどう〟とあり、大抵海ぶどうと言えば沖縄だ。
「確か、自虐CMやってる海ぶどう?」
「海無し県で売られている海ぶどうを、刑事が産地偽装だって建物に乗り込んだら、水槽で海ぶどうを育ててるアレか」
疑問を浮かべた兄の言葉に、妹もテレビで見た覚えのあるローカルのコマーシャルを思い浮かべる。
微妙な演技のアナログな格好の刑事と鮮やかな色の海ぶどう。
「次、先輩の修学旅行で沖縄のお土産訊かれたら、二千円渡して二千円札お願いしようかな」
「あ、僕にも見せてね。まだ一回とかしか見かけてないから」
存在は知っていても実物に触れた記憶の無い彼女は、話を戻す。
「でも、あまり海ぶどうが美味しいって覚え無いんだけど」
「僕も海ぶどうより、ソーキそばの方が食べたい」
好き勝手言ってしまったので、母親の機嫌が傾き出すのを察した二人はさっと手を合わす。
「「いただきます!」」
朝月と涼火の声が上がる。




