姫の誕生
シャーク帝国。
この国の王であるリースタニア・シャークは、側室も多かったが、正室との間に生まれた子供の数も多かった。
その数、何と7人。
リースタニアは子宝に恵まれていた。
しかし、リースタニアは男子こそ多いのだが、姫は2人。
そのうちの1人、ミュー・シャークは側室のレルナ・ネーチアの娘。わずか3歳で同盟国に嫁いだ。が、婚姻同盟を結んだ同盟国は、ミュー・シャークが嫁いだ翌年に滅亡した。メドレーナ国の侵略が理由だ。
その際、ミューはメドレーナ国の王、ワトリックス・メドレーナの養女にされた。
2人目のラーナ・シャークは側室・レーナ・マーネイの娘。幼い頃から美しい顔を持ち、結婚を申し込んでくる貴族が何百人もいた。
しかし、ラーナは全員断った。
やがてラーナが12歳になると、同盟国との縁談が持ち上がり、ラーナは同盟国の王の甥のバーデイに嫁いだ。
しかし、ラーナが20歳の頃、バーデイが叔父であり王であるゼーラに対して謀反を起こした。
結果、バーデイが敗北。バーデイとラーナは捕らえられ、処刑された。
その事に、リースタニアは激怒し、同盟を解消した。
それゆえ、リースタニアには姫がいなかった。
「リーネ、頼むぞ。」
「はい。」
正室・リーネは、新たに8人目の子供を宿していた。
「必ずや、リースタニア様の本望を果たしてみせます。」
そして、リーネは子供を産んだ。
姫だった。
「リーネ、よくやった。」
リースタニアは喜び、宴を開いた。
「2度と悲劇が起きぬよう、婚姻同盟を結ぶのは強国で、お家安泰の国にする。」
リースタニアは過去の娘の悲劇を未だに引きずっていた。
「はい。」
リーネはそう答えた。
「この姫には、穏やかな人生を送ってほしい。」
リースタニアは独り言のようにつぶやいた。
しかし、リースタニアの願いは叶わず、この姫もまた、波乱万丈の人生を送ることになるのだった。
評価ポイント、ブクマ、感想、レビュー等々、よろしくお願いいたします。