第二話・夢、直視すらも
「――、ほんとに、行っちゃうの?」
「だって、リオラさんが言ってたんだ、おれもライマも行くしかないよ」
「じゃあ私も「だめだ。クレアは、待ってろ」
「…なん、で」
幼いクレアの瞳から、ぼろぼろと涙が溢れていく。
いやだ、いやだ、
「絶対、帰ってくる。約束するから。だから、泣くな、な?」
だって、あなたは結局――
がばりと起き上がる。背中は汗でびっしょりだ。
まさか
「まさかあの時の夢を、見るなんて…」
呟いたクレアの表情は、いつものものとは違っていた…
「どうしかた?クレア」
「シェーラ…」
昼食の時間、珍しくボーっとしていたクレアに声をかけたのは、向かいの部屋に住む、シェーラだった。
「眉間皺寄ってるけど、なにか、あったの?」
「…なんでもない。心配してくれてありがたいけど、私は大丈夫だ…。」
「そう、ならいいんだ。何かあったら、すぐ言ってね?」
「・・・ああ。」
シェーラは優しい子だ。それは私にもわかる。分かるんだよ、本当は
「クレア?」
「…――?」
「…クレ、ア?おい?」
一度こちらを向き、聞き取れない声量で言葉を紡いだ。
そしてまた遠くを見る。
今日はシュミレーションで訓練するはずだったのに、これじゃぁできないじゃないか。
「クレア、やるきあんのか?」
つい、苛立って、言葉がきつくなる。(昔はこんなことなかったのに。)
おかしい。
いつもなら、睨みつけて、今にでも札を投げて直後に斬りかかってくる。
なのに、今日はそれがない。
クレアの様子がおかしい。
また、あの夢か?なぁ、兄さん。
いない兄に問い詰めても、答えは返ってこない。
ちょ、意味不明ですね
ごめんちゃい