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71.5話〈閑話〉 天然ミニマリスト

 6歳の男の子シュンの両親はテレビを見ていた。シュンもブロックで家を作りながら傍にいる。


 テレビでは『シンプルライフ』が紹介されていた。

 シンプルな生活を送る人の中でも『ミニマリスト』と言う、生活に必要な最小限の物のみ所持して生活する人が出ている。


 ミニマリストの様子を見ながら、シュンの母が言う。

「こう言うのって、

『そうなることを目指したわけじゃないけど、そうなった人』

がいちばんすごいのよね」


「ん?」

 と夫が首をかしげるので、説明を詳しくする。

「『物を少なくして、生活しよう』

と意識して目指して、そうなった人ももちろんすごいけど。

目指したわけでもないのに、普通にナチュラルに物が少ない生活をしている人の方がもっとすごい」


「ああ。なるほど」

「天然がいちばんすごいのよ」


「『天然最強説』」 

 と夫がつぶやくと、

「うん、何でも天然最強よね」

「確かに。何でも」

 と同意した後、夫はにやりとして、

「シュンも。

天然ミニマリスト、ぽいなあ……」

 妻も吹き出し、

「ぽい。

いつも、

『いらない』

だもん」

 妻は『いらない』と言う部分をシュンの口調を真似して言った。

 夫は笑いながら、

「なんでかね。

俺の子なのに……」

「私の子なのに……」

 妻も応えた。



 ※


 両親のそんな会話がどうしても耳に入ったシュンは

(俺は天然の、物を欲しがらない無欲の人じゃないぞ) 

 と心の中で気まずい思いを吐き出していた。

(俺は100年生きた経験と、じじぃだからあんまり子どもが欲しがる物が欲しくないのと、面倒くさがりの性質で物があるといろいろ面倒だと思うのと、あとは仏教的? な無執着? みたいな考え方を知っているから、物があまり欲しくないだけだ)

 自分は『天然』ではなく『人工』、『意識的』、『私利私欲』だ、とシュンは思った。


(まさか物をあまり欲しがらないだけでこんな風に褒められる(?)とはなあ……)

 ちょっと困ったが、だからと言って今更物をよく欲しがる子どもを演じるのも面倒くさいので、考えないことにした。

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