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70.5話〈閑話〉 どんなアイス好き?

 5歳の男の子シュンは同じく5歳の女の子ミヨに質問された。

「シュンくんはどんなアイスすき?」


 シュンは

「なんでもすきだよ」

 と答えた。

「そうなんだ」

 とミヨはニコニコした。

「わたしはシャーベットがすきなの」

「おいしいよね。なつはとくに」 

「うん」


「……」

「……」


 シュンは思った。

(もっと話を広げなければ)

 せっかくミヨと話しているのだから……  


 シュンは話を続けようと、やりとりを思い返した。


ミヨ『どんなアイスすき?』

シュン『なんでもすきだよ』


『なんでもすき』

 その答えが良くなかった。

 話がそこで終わる。広がらない。

 しかし……


(『何でも好き』。事実だ)


 シュンは特に好きなものはなく、何でも好きなように思った。

 ソフトクリームもかき氷も、シャーベット系も、ラクトアイス系も、チョコがけも和菓子風もみんな好きだ。


「!」

 シュンはアイスについての話のネタをひらめいた。

(そう言えば。

特に嫌いと言うわけではないが、あまり食べない種類のアイスがあったぞ)


 シュンは言った。

「アイスなんでもすきだけど、あんまりたべないアイスもあるよ」


『なあに?』とミヨは首をかしげたので、続ける。


「ぼく、スプーンでたべるアイスはたべないんだ」

「どうして?」


「スプーンでたべるの、めんどう、くさいから……。……」

 シュンは途中で

『これ、あんまり良くないネタだぞ』

 と思ったが、話を変えることもできず言い切った。

(しまったなあ。

いくらなんでも

『スプーンでアイスを食べるのが面倒くさい』とは面倒くさがりが過ぎるように思う。事実だが。

ミヨちゃんに、

『シュンくんってずいぶんなものぐさね』

と思われてしまうぞ)  

『ものぐさ』と言う言葉は使わないだろうが……


 しかしミヨはにっこりした。

「そうなんだね!」


 シュンは何だか楽しそうなミヨを見て、嬉しくなった。

(やっぱりミヨちゃんは良い子だなあ……)



 ※


 ミヨはおかしく思っていた。

(チサちゃんは『長い時間かけて食べられるから、チアパック入りのアイスが好き』。

シュンくんは『スプーンで食べるのが面倒くさいから、スプーンで食べるアイスは食べない』)


 アイスひとつとってもそれぞれ個性があって面白いなと思っていた。

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