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69話 誕生日会

 5歳の男の子シュンは8月が誕生月だ。

 今日の保育園でのお昼ごはん時に、8月の誕生日の子まとめての誕生日会があった。

 ケーキを食べ、保育士さん手作りの王冠とマントを着て記撮撮影。


「……」

 シュンは無になっていた。

「シュンくん緊張しているのかな?」

 と先生がニコニコ声をかけるのに、ニッ → カシャ! と撮影。

「……」

 王冠とマントを脱ぐと『ふう』となった。

(嫌ではない。

嬉しいかと言うと少し嬉しい。

でもすごく嬉しいかと言うとそこまで嬉しいわけではない――普通に嬉しい。 

じじぃだからか何事も淡泊でいかん。

色々用意をしてくれた先生にはもちろん感謝しているが)

 以上が『王冠とマント』の感想であった。


(皆がハッピーバースデーの歌を歌い、お祝いしてくれたのはすごく嬉しい)



 ※


 昼休みになると、同じ組の子に質問された。

「シュンくん、おたんじょうびのプレゼントなにもらったの?」

「まだたんじょうびきてないんだ」

 とシュン。

 今日は8月誕生日の子まとめての誕生日会なので、月の真ん中にある。

 シュンの誕生日はまだ来ていなかった。

「でももうすぐたんじょうびだよ」

「たのしみだね」

「アイスケーキたべるとおもう」

 シュンは去年のケーキを思い出して言った。

「なつだから、アイスのケーキなんだ」

 シュンは『アイスケーキ』と言うものが珍しいかと思って言ったが、

「わたしクリスマスにアイスケーキたべたよ」

(夏だからとか、関係ないのか)

 シュンは思った。珍しい食べ物でもないらしい。

(じじぃの思い込み改めねば)

 

「いいな~たんじょうび」

 と人一倍うらやましがる女の子がいた。

「わたしもはやくたんじょうびこないかな」

 シュンは同情するように言った。

「3がつのおたんじょうびまでに、ふゆをこさないといけないから、まだまだとおいね」

 するときょとんとされたので、シュンは思った。

(『冬を越す』と言う言い方がじじぃくさかったか?)


 女の子は首をかしげながら聞いた。

「シュンくん、どうしてわたしが3がつうまれって、しっているの?」

「え。」

 今度はシュンがきょとんとして、

「だってやよいちゃんは『や……」

 とまで言ってからハッとする。


 その女の子――やよい――は

『「やよい」というなまえだから、3がつうまれだとしっている』

 と言おうと思ったけれど……

弥生(やよい)=3月の異称』とは

(じじぃ、と言うか、大人、と言うか、中学生? くらいの知識だ!)

  

 やよいは今年から保育園に通っている子なので去年の誕生日会のことを憶えていると言うような言い訳も言えず、

「なんとなく、しってる」

「そうなんだ」

 やよいも特に気にかけず、話は終わった。



 ※


 シュンとやよいの話を遠巻きに聞いていたミヨも衝撃を受けていた。

(私もやよいちゃんが3月生まれだと知っていたわ。

シュン君はなんとなく知っていたみたいだけど、私は『弥生』と言う名前から、普通に

『私と同じ3月生まれね』

と勝手に親近感持っていたわ)

(気を付けないと……)

 

『むつき』とか『さつき』とか言う名前の子に会ったときなどにも気を付けないと。

 他には何かあるだろうか?

『季節』の名前も注意が必要だろうか? 『なつうまれだね』とかつい言ってしまいそう。『季節の花』とかでも推測してしまいそう――『「さくら」ちゃんだから春生まれかもしれないな』など。

 あと、『太郎』や『二』が付く名前も、『いちばんとしうえのこども』とか『おにいちゃんいるの?』とか、つい言ってしまうかも!?


 また考えることが増えたミヨだった……


『気をつけなければ』 

 と思いつつ、知識がある状態で知識を使わない(?)とは案外難易度が高いのかもしれないと思った者がこの場にもう一人いることを、ミヨは当然知らなかった。




お久しぶりで申し訳ありません。

お読み下さりありがとうございます。


今更でありますが、この話は『前世の記憶が戻る』と言う、謎がわかるみたいな結末になる話ではありません。 

記憶が戻らないまま日常が続く話になると思います。(なのでいつ読むのをやめても大丈夫だと思います。一話完結気分でお気軽にお読みいただけたらと思います)


もし思ったものと違いましたら、申し訳ありません。

お読み下さりありがとうございました。

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