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68話 餅

 5歳の男の子シュンは祖父母の家にいた。

 目の前にはお菓子。

 和菓子。

『あんころ(もち)』である。


 祖父母が見守る中、食べるシュン。

「シュンくんおいしい?」

 祖母が聞くのに、

「うん!」


(おばあちゃんは俺が和菓子が――餡子(あんこ)が――好きなことを知っているから、よく用意してくれるのだ)


 餡子を溶かしつつ中の柔らかい餅をもぐもぐしていると、

(……!)

 シュンはあることを思い出した。

 保育園で、あんころ餅と似たような柔らかい餅を食べたときのことである。


 ライタがもぐもぐ食べながら言ったのだ。

「いま、もちでふうせん、ふくらまそうとしちゃった」

『てへ』と言うライタに

(ほう……)

 シュンは感心した。

(餅を、風船ガムと勘違いして、風船を膨らませようとしたとは……

子どもとは面白いことを言うなあ……)


 ……とそのことをあんころ餅を食べている今思い出したシュンはうずうずした。

(俺も、やってみようか?)


『おもちのこと、ふうせんガムだとおもって、ふうせんふくらまそうとしちゃった』

 と祖父母に対して『きょとん』と言ってみようか!?


『オリジナル』じゃないけど……

『パクリ』だけど……


(おじいちゃんおばあちゃんも、こう言う『子どもらしい、勘違い』が好きだろう。

見たいだろう)


『サービス』だ……『祖父母孝行』


(しかし)

 シュンは考える。

(『パクリ』で『わざと』『演技』でするとなると。

罪悪感が……) 


 保育園児が天然で餅を風船ガムと勘違いするのは可愛い出来事である。

 しかし、演技でそれをやるとなると、

『食べ物を使って遊んでいる』 

 ことになるのでは……?

 その行為を祖父母は喜ぶだろうか……


(しかし。

それを言ったら風船ガム自体が食べ物で遊んでいるのでは……) 

  

 そんなことを考えているうちに

(あ……)

 シュンの口の中のあんころ餅は溶けてしまった。


「もう一個食べる?」

 祖母が言うのに、

「いいの?」

「いいよ」


(……ちゃんと味わって食べよう)

 結局そんな結論になるシュンだった……

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