59話 絵
5歳の男の子シュンは祖父母宅へ遊びに行った。
シュンは祖父母に家から持ってきた絵を見せる。
「このあいだみた、はなびのえ、かいたよ!」
祖父母はシュンの絵を見て、感心した。
「うまいわあ、シュンくん!」と祖母。
「うん、上手い」
祖父も褒めると、絵を指差した。
「ほら。
シュンくん、花火を『雫状』に書いている」
しみじみと言う。
「もし大人が花火の火の粉を『雫状』に描いても何とも思わないが――『花火の絵』としてスタンダードだから。
しかしシュンくんのような子どもがこのように花火を描くとは。
シュンくんには『花火を雫状に描く』と言う知識はまだないはずだから。
つまり、シュンくんは『実際見たまんま花火を描いた』。
そして『見たまんまの花火』を『雫状』に描いたと言うことだ」
祖父はシュンをキラキラした顔で見た。
「スゴいよ、シュンくん!」
「ほんとスゴいわぁ、シュンくん!」
祖母もシュンをニコニコと見た。
「そうよね~。
言われてみたら子どもがこんな花火の絵を描くのは、スゴいことかもしれないわ」
母もシュンを見直したように見た。
「大人が描いても驚かないけど。
この絵を子どもが描けるのはスゴい!」
そう大人達が話すのを聞きながらシュンは思った……
(ゴメン)
※※※
5歳の女の子ミヨは絵を描いていた。
「できた」
両親にその絵を見せる。
猫の絵だった。
「わー。可愛い!」
母が褒める。
「ほんと、可愛いよ」
父も笑顔で褒めた後、妻に視線を向け、
「ほんと、子どもの絵って可愛いよな?」
「うん」母も同意する。
「何て言うか……
『味がある』のよね?」
「ほんと」と父、
「何て言うか……
スゴく、可愛いのに……
『あざとさ』がない!」
「そう!」母は可笑しそうに目をキラキラさせながら、
「子どもの『ヘタウマ絵』は、あざとくないのよ!」
うんうん頷き合う両親を見ながらミヨは思った。
(ごめんなさい)
ミヨにはあざといものを描いた自覚があった。
さぼっていたために、実際の季節と作中の季節がズレつつあります。
(今の作中季節は8月中頃です)
申し訳ありません。
お読み下さりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




