58.5話〈閑話〉 猫
5歳の女の子ミヨは、ショッピングモール内にあるペットショップのガラスケースの中の猫を見つめていた。
(狭いところにいるのはかわいそうだわ)
と思ったが、
(とっても、可愛いわ)
ミヨは他の子どもに倣って、何度もガラスケースの並ぶ面を往復した。
(子どもだからできることかもしれない)
母もミヨの後ろに付いて歩き、
「可愛いわね~」
「ほら、ミヨちゃん。
足の裏。可愛いわね~」
「うわ……高いな」
最後は母の独り言である。
ミヨも同じく
(高い)
と思った。
※※※
「ミヨちゃん」
ペットショップから離れると母は言った。
「猫、飼いたい?」
ミヨは迷って「う~ん」と明言を避けた。
ミヨの困ったような笑顔に
「ふふ」
と母は笑って、
「お父さんに飼っても良いか聞いてみようか?」
「おかあさん」
とミヨは母に聞いた。
「おかあさん、ねこ、かったことある?」
「ないわ」
「おとうさんは?」
母は首を傾げた後、
「ないんじゃないかな~。
聞いたことないから」
ミヨはこっくり頷いた。
しばらく歩いてから、
「おかあさん。
わたし、いちど、ねこがいっぱいいるおみせにいってみたい」
母は首を傾げ、
「さっきみたいな――ペットショップ?」
ミヨは首を横に振り、
「テレビでみたことある、ねこがいっぱいいて、おきゃくさんがさわることができるところ」
母は思い当たり、
「『猫カフェ』かな?」
「うん!」
母は笑顔になって、
「お母さんも行ったことない。
一度行ってみたいかも」
「おとうさんとさんにんでいこうよ」
「そうね。今度行こうか」
「えへへ……」
母は嬉しそうなミヨを見て、
(ミヨちゃん、やっぱり猫が好きね)
と思った。
一方ミヨはこう考えていた。
(猫飼う前に、猫カフェへ行き、三人とも猫が本当に好きか。
あとは、猫アレルギーじゃないか調べた方がいいわ)




