53話 スイカ
5歳の男の子シュンは祖父母宅に来ていた。
「ごちそうさま」
と言うとリビングを出る。
そのすぐ後、シュンの祖母が「ふふ」と笑うのに娘が首を傾げた。
「どうかした?」
祖母はシュンが先程までかぶりついていたものを指差す。
「すごく綺麗に食べてある」
祖母の指先にあるもの、それはスイカだった。
皮の部分――黄緑のところ――がところどころ見える状態まで食べてある。
「アミちゃんとか、1センチくらい残すこともあるのよ」
アミとはシュンの従姉である。
母の兄の娘で小学生。
「あは……」
と母は笑った。
「あの子、わりと何でも綺麗に食べるのよ。
前マンゴー食べたんだけど、『マンゴーの切り方』で出したんだけど。
上の部分を食べた後は自分でスプーン取ってきて、くり抜いて食べてた」
「あはは」
と祖母も笑った。
「今の子は結構『贅沢食い』するイメージだけど。
シュンくんは違うのね。
『昔の子』みたい」
「意地汚いのかしら?」
と母は息子に対して失礼な物言いをした。
祖母は可笑しそうに、
「良いことじゃない~。
食べさせ甲斐があるわ」
※※※
一方のシュンは
(今のスイカは美味いなあ)
と思っていた。
しかも祖母は種まで取ってくれるのだ!
(至れり尽くせりだなあ……)
しかしシュンは当然種を自分で出すことができた。
だから種を取る手間を祖母に――あるいは母に――かけさせる必要はないのだ。
(5歳児はスイカのタネを自分で出せないんだろうか?
もし出せるなら『もうぼく、じぶんでたね、とれるよ』と言わねばならん)
今度ミヨに聞いてみよう、と思うシュンだった。




