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50話 映画

 5歳の男の子シュンはテレビアニメを見ていたが、コマーシャルに注目した。

 『夏に公開されるアニメ映画』のCMである。


(そう言えば、春におばあちゃんと映画に行ったなあ)


 学校が春休みの頃に公開される映画を、シュンは祖母と一緒に見に行ったのだ。

 保育園は春休みがないので、普通の休日に。



※※※


 春。映画館。


「シュンくん、おトイレに行きたくなったら言ってね」


 と祖母は言ったが、シュンは自信たっぷりな調子で言う。


「ぼく、ぜったいトイレだいじょうぶ!」


(今朝はあんまり水分を過剰に取らないようにしたぞ)


 とシュンは思った。

 もちろん、ちゃんと適正量は飲んでいる(つもりだ)が……。


(俺は女子トイレに行きたくないのだ)


 映画館に限らず、母や祖母など女性の連れしかいなくて『女子トイレ』に行かざるを得ない場合の外出中は、水分補給を過剰にしないよう努めるシュンであった。


(もちろん必要な水分は取るし。

やむを得ない場合には女子トイレへも行く)


 女子トイレはさほど男――しかもシュンは子どもだし――が入っても大丈夫な気がする。

 全室個室だし。

 まあ、『悪意』で入るのはもちろんダメだし、『悪意』がなくとも何の用事もないのに入るのもダメだが……


 などと言うことを考えていると祖母が言った。


「おばあちゃんもあんまり水分を取らないで来たからね!

だからたぶん大丈夫……途中でトイレ行かないと思う。

でも、おばあちゃんが行くときは、シュンくんも一緒に来てくれるかな?」


(俺がトイレに行かなくても。

おばあちゃんがトイレへ行くなら、一緒に女子トイレへ行かなければならないんだな)


 とシュンは思った。


(昔なら、子ども1人で短い時間くらい放っておいても大丈夫だったろうに。

今は大変だなあ)



※※※


 映画が終わった後、シュンは女子トイレの『手洗い場』――入り口のすぐ側――にいた。


「シュンくん、ちゃんといる~?」


 と言う個室に入っている祖母の声にシュンは「いるよ!」と答えた。


 トイレから出ると祖母は洗った手をハンカチで拭きながらシュンに聞いた。


「ほんとにシュンくん、家までトイレ大丈夫?」


「うん!」


「映画、おもしろかった?」


「うん!」


 とシュンは元気に答えた。


「とっても、おもしろかった!」


(正直なところ、あんまり見たいとは思っていなかったが。

おもしろかったな)


 シュンが祖母に映画に誘われたとき考えたことは『あんまり興味ないな……』だった。

 毎週面白く見ている30分アニメの映画化作品ではあるが、特別に見たいとは思っていなかった。

 何だろう……『あれば見るけど、なければ見ない』と言うか。


(しかし。

『話のタネ』に映画館へ行くのも良いかも知れんな)


 などと大人クサい理由で祖母の誘いに


「ぼく、えいが、いきたい!」


 と答えた。


 と言うわけで、そんなに『映画の内容自体』に興味津々と言ったわけではなかったのだが……


(おもしろかったなあ)


 とシュンは思った。


(まさか……。ああ言う展開になるとはな)


 子ども向けだとなめていたのかもしれない。

 いや、『子ども向けだと思って、なめていた』とは、子ども向けのものを見ていて度々思うことである。

『えっ。ここで終わりじゃなくて。まだ、もう一段階あるの?』みたいな。


 映画館の様子を見ると、子どもはもちろん熱心に見ていたし、大人の方も退屈している様子はなかった。


(よくできているものだ……)


「おばあちゃんもおもしろかった?」


 と祖母に聞いてみると、祖母もニコニコ答えた。


「おもしろかったわ~。

おばあちゃん、いつも映画へ行くと寝ちゃうんだけどね。

今日は寝なかったわ」


 祖母は家でドラマを見ているときも『間』は寝ていることが多いのである。

 『殺人事件』なら、『登場人物紹介』と『犯人判明』のみ見る、と言うことすらあるのだ。間を抜かして。

 シュンも人のことは言えないのだが……。シュンもテレビを見ながら寝ることもあるので。


「シュンくんは寝なかった?」


 と聞く祖母にシュンは元気に言った。


「きょうは、ねなかった!

おもしろかったから、ぜんぶみたよ!」


(しかし。

今のアニメとは何だ?)


 とシュンは思うのだった。


(何であんなに動くのだ?

顔の表情まで……)


 映画化作品をテレビで見たことはあったものの、『映画化作品は普段のアニメよりも動く』と感心するシュンだった。


読んで下さってありがとうございました。

評価ブクマして下さった方ありがございました。

おかげさまでヒューマンドラマジャンルでランキングに載ることができ、読んで下さる方が増えとても嬉しかったです。

ありがとうございましたm(_ _)m


6月中は10万文字を目指していて更新多めでしたが、

7月からは更新が少なくなると思います。


これからの予定(途中で変わるかも知れませんが)は、作中の季節と実際の季節を合わせて、季節の話を作中に登場させつつ、

主人公が『小学生』になる来年の4月まで投稿を続ける予定です。m(_ _)m

2020年4月最終回予定です。

『それじゃあ完結してから読もう』と思われましたら来年の春になったら思い出して覗いて頂けたら嬉しいです。


また、作中で伏線のように『前世の記憶』が出てきますが、

作中では『前世は具体的にはわからないまま終わる』と思います(予定です)。

もし『前世がそのうち明らかになる』と思って読んで下さっている方がいらしたら申し訳ありません。m(_ _)m


読んで下さってありがとうございましたm(_ _)m

これからもお付き合い下されば嬉しいです。

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