46.5話〈閑話〉 スカート
5歳の女の子ミヨは母と母の友達の家に遊びに来ていた。
母の友達の子どもと遊ぶ。
3歳の女の子だ――ナギと言う名前である。
しばらく過ごした後、
「そろそろ出かけようか」
とナギ母は言った。
昼食を取りに近所のファミレスまで行くのだ。
そこでミヨはナギを見て、アドバイスをした。
「ナギちゃん、『ズボン』はいたほうがいいよ。
ころぶと、いたいよ」
ナギはワンピース姿であった。
ミヨの言う『ズボン』とはスカートの下に履いても変じゃないストレッチ素材の『レギンスパンツ』のことである。
(怪我をするといけないから。
タイツ……レギンスを履いた方が良いわ)
とミヨは思ったのだが。
ナギ母はミヨに困ったような笑顔を向け、
「そうよね~。
ミヨちゃんの言うとおり!」
と頷くと、ナギにズボンを見せた。
が、ナギはぷいと顔を逸らす。
「この子、嫌がるのよ~、ズボン……」
とナギ母は言った。
「ほら、ナギちゃん!
ミヨちゃんもちゃんとズボン履いているでしょ?」
「いやっ!」
とはナギの主張である。
「はかないっ!」
「確かに、スカートだけ、と言うのは可愛いけど……」
と言いつつ、ミヨ母はナギの『ワンピース姿』を感心したように見ていたが……。
「あれ?」
と言うと、ナギのスカートに触れ、少しめくった。
「このスカート、裏地があるの……?」
「ああ、違うのよ」
とナギ母が笑った。
「ナギ、2枚スカートを重ねて着ているのよ。
ワンピースの下にもう1枚スカートを履いているの」
「へえ~」
とミヨ母はマジマジとナギのワンピース姿を見た。
「確かに。
ワンピースの下に『チュールスカート』? を履くと。
何かワンピースが『ふわっ』と膨らんで、可愛いわね」
「と言うか。
そんな思惑じゃなくて、ただ単に『一度にいっぱいスカートを着たい』と思って、履いているだけだと思うけどね」
と言うナギ母の言葉にミヨ母は目を丸くした。
「あ。じゃあ。
ナギちゃんが自分から履いているんだ?」
「そうよ。
勝手に履いちゃうの。スカート2枚」
「ナギちゃん、おしゃれね~」
とミヨ母は褒めた。
ミヨも思った。
(本当に、ワンピースがふわっとしていて可愛いし。
ワンピースの裾からチラッと下のスカートが見えるのも可愛いわ)
『その発想はなかったなあ』とミヨは思うのだった。
――『スカートの下にスカートを着る発想』……。
その後、4人で外を歩いている間、ナギの可愛いワンピース姿を『可愛い』と見つつも、やはりミヨは先程と同じことを思うのだった。
(足がむき出しだと、転んだときの膝が心配だわ……。
やっぱりズボンを履くと良いと思うんだけどな……)
ナギが転ばないように、ナギに合わせてゆっくりファミレスまで歩くのだった。




