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46話 『発想』

 5歳の男の子シュンは保育園で友達のアキトとブロックのおもちゃで遊んでいた。


 アキトが元気に言う。


「できた!」


 シュンはブロックを積む手を止めて、顔を上げてアキトの『作品』を見た。


(ほぉ……)


 アキトはブロックで『剣』を作り上げていた。


「すごーい!」


 とシュンは賞賛した。


「アキトくん、ブロックで『けん』をつくったんだ!」


 アキトは「へへへ」と照れた後、皆に『作品』を見せに行った。


 シュンは自分の手元に視線を戻しつつ思う。


(ブロックで『剣』を作るとは。

全く思い付かなかったなあ……)


 子どもの発想とは柔軟だ。

 それに比べて……とシュンは自分の『作品』を見る。

 それは『家』だった――『部屋』と言うか。


(大きなブロックを床とし、小さなブロックで壁を作ったり、机を作ったり……。

ブロックで作る物として、そんなものしか思い浮かばん)


 普通の子どもに比べて自分には『発想力』が足りない……とシュンは常日頃から感じていた。


(まあ、ブロックで『家』を作るのも、それなりに楽しいが……)


 シュンは『二階』に取りかかった。



※※※


 5歳の女の子ミヨは友達のレイナと机に向かい『()り絵』をしていた。


 ミヨは真剣だった。

 上手くなり過ぎないようにしているものの『5歳児』となると皆結構上手いので、手を抜き過ぎる必要もないのだ。

 ほどほどに綺麗に塗り絵をしていた。


「できた!」


 と先に言ったのはレイナだった。

 ミヨはレイナの『作品』を覗き込んで、


「すご~い!」

 

 と褒めた。


「レイナちゃん、とってもきれいだね!」


「えへへ」


 とレイナは照れると『作品』を先生に見せに行った。


 ミヨは自分の手元に戻り、自分の『作品』を見る。


(レイナちゃん、スカートを何色もグラデーションにして塗っていたわ)


 ミヨの『塗り絵』の女の子の履くスカートは『ピンク一色』なのに対し、レイナの塗ったものは『ピンク――赤――紫――青――水色』とスカートを色んな色で、虹のように塗っていた。

 ミヨとレイナの『塗り絵』はもともとは同じ絵――スカート姿の女の子――なのに、全然違う色使いとなったのだ。


(私、『枠内』は『同色』と言う思い込みがあったな。

だから、スカートを『ピンク一色』にしたけど。

レイナちゃんは『同じ枠内だからって、全部同じ色にする必要はない』って発想をして、色んな色を使ったのね)


 子どもは『その発想はなかった』と言うことを普通にやってのけるのだ。


(子どもってスゴいな)


 と思いつつ、ミヨは自分の『作品』に戻った。

 

(でも塗り絵って結構ハマるわ……。

『大人の塗り絵』が流行ったこともあったものね)


 次はレイナの塗り方を試してみよう、と思った。


(レイナちゃんに『そのぬりかた、まねしてもいい?』と断ってからね……)

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