表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/90

45.5話〈閑話〉 身近にいた

 5歳の男の子シュンは2つ上の従兄のマオの家で彼と遊んでいたが、ハッと閃いた。


(よく考えれば身近に『理想の男の子』がいたぞ!

マオくんだ!)


 『理想の男の子』とは。

 シュンが『もしかして自分にもなれるだろうか?』と考え(あきら)めた、見た目良し、性格良し、頭良し、運動神経良しの男の子のことである。


 アニメにはよく存在するが現実には滅多にいないのではないか、と思っていたが……

 マオはかなり『理想の男の子』に近いとシュンは考えた。


(マオくんは男前だし――身内の贔屓(ひいき)目かも知れんが。

性格はとっても良い――マオくんは『俺と同じく「前世の記憶」がある子ども』かもしれないと疑い、変なことを言ってしまった俺に対しても常に優しくしてくれた。

頭はもちろん良い――『中身は「大人」か?』と思うくらいだった。

運動神経も一緒に公園で遊んだときの様子を見ると、良さそうだ。

少なくとも悪くはないはず)


 シュンは後学のためにもマオに尋ねることにした。


「ねえ、マオくん」


「ん? 何?」


「マオくんって、モテるよね?」


 と聞いたが、マオはしばらく答えなかった。

 シュンがマオをチラッと見ると、マオは照れた顔をしていて、シュンは『ほぉ……』と思った。


(とても大人っぽい――小2には見えない――マオくんも、こんな顔をすることがあるんだな)


 子どもとは可愛いものだ……とシュンはホッコリした。


「いや、シュンくん……。

俺、全然モテないよ」


(絶対モテる!)


 とシュンは思った。

 『モテるけどモテるなんて恥ずかしくて言えないなあ』みたいな反応をたった今していたじゃないか!


「ぜったいモテる!

マオくん、かっこいいもん!」


 とシュンが力強く主張すると、マオはさらにニヤけつつも


「そんなことないよ~。

モテないよ、俺……」


(くそう。

モテる男が謙遜など……)


 とシュンは思った――小2に嫉妬とは、と思いつつ――が、いや、小2のうちから謙遜ができる男だからこそモテるのか? とも思った。


(さすがマオくん。

俺には敵いそうにないなあ……)


「ねえ、でもねー、シュンくん」


 と言う声が割って入った。

 マオの母だ。

 我が子のピンチに助太刀に来たのか? と思いつつマオ母を見ると、マオ母はニヤニヤしながら言った。


「シュンくんも、モテるんでしょー?」


「えっ」


 とマオが満面の笑顔で言った。

 自分から矛先が移って安心したのもあったのか。


「シュンくん、モテるんだ!」


「モテない」


 とシュンは即答した。


(事実だ)


 ミヨ以外の女の子には全く好意を持たれていない……。


「でもおばさん、シュンくんのお母さんから聞いているのよ。

シュンくん、『結婚の約束をした女の子』がいるって」


 シュンは照れた。


「えっ!?」


 とマオはビックリした声を上げた。


「結婚!?」


「そうよ~。

『おおきくなったら、むかえにいくね』

と言った相手がいるんでしょ~、シュンくん!」


 シュンは照れながら言った。


「でも、おとなになってからのことはまだわからないし……」


「今、結婚の約束をしているだけでスゴいわよ~」


「でも、ぼくはマオくんとちがって、ひとりのおんなのこにしか、すかれていないよ」


 シュンは『矛先』をマオに移そうと、そんなことを言った。

 マオは苦笑しつつ、


「はは……。

俺、モテないってさっきから言っているでしょ、シュンくん」


(おや……?)


 とシュンは首を傾げた。

 マオが少し沈んだ様子に見えたから。


「シュンくんの方がモテるじゃんかー」


 とマオは笑顔で言った。



※※※


 シュンとの『モテること』についての話題が終わった後も、遊びつつマオは考えていた。


(『結婚の約束』!?)


 マオは思った。


(シュンくんには謙遜したけど。

確かに俺、女子にちょっとモテる……。

『かっこいい』とか言われることあるし)


 しかし。

『結婚の約束』!?

 そんなのしたことがない!


 結婚の約束をするってことは『両思い』と言うことだ。

 マオはそんなに女子と仲良くなったことがなかった。


 マオは思うのだった……


(たくさんの女の子にモテるより。

好きな女の子と『結婚の約束』をする。

そっちの方がうらやましい……)


 『さすがシュンくん』

 マオは今日も――シュンに『モテるでしょ?』とうらやましがれ、ちょっと優越感を感じた今日すらも――いつもの結論にたどりつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ