42.5話〈閑話〉 Y○uTuber
5歳の男の子シュンは従兄のマオ宅で、Y○uTubeの『ゲーム実況』を見ていたが……。
マオの母と自分の母の『ゲーム実況って何が面白いのかなあ』みたいな会話とY○uTubeの音声を、どちらともなく聞いていたが……
「でも、この人、声が良いわね」
と言うマオ母の声に、聞き耳を立てた。
シュン母が続く。
「確かに、良い声してるわ」
「Y○uTuberって声よね?
顔出ししていないものは特に……」
「そうね。
顔出ししていても、ゲーム実況とかだと、あんまり顔出ないし。
声よね」
(なるほど、確かに良い声だ)
とシュンはゲーム実況の『声』に集中した。
(この間、関西弁で良い声のゲーム実況を聞いたが。
あれが最強かも知れんな)
良い声。
良いイントネーション。
あとは不快にならない良い内容、か……。
……などとゲーム自体には関係ないことに注目しつつゲーム実況を見るシュンだった。
※※※
保育園で5歳の女の子ミヨは同じ組のシュンと話をしていたが、シュンが不意に言った。
「ミヨちゃんはこえがかわいいね」
「えへ……」
ミヨは褒められて舞い上がった。
「ありがとう、シュンくん」
シュンは生真面目な顔で頷くと、
「こえがとってもかわいいから、ミヨちゃんはユーチューバーになれるよ」
ミヨは当惑した。
『ユーチューバー』――『Y○uTuber』、意味はわかったしどんな人たちかわかるが……。
シュンの発言の意味に頭をひねる。
(今の子は、将来の夢が『Y○uTuber』と言うものね。
だから私もY○uTuberに憧れていると思って『ユーチューバーになれるよ』と言ってくれたのかな?)
よくわからなかったが、最大級の褒め言葉に違いない。
「ありがとう、シュンくん」
とミヨは言った。
「わたし、ユーチューバーになれるかな?」
「なれるなれる」
とシュンは真剣に頷いた。
ミヨは照れた後、
「シュンくんもこえ、かわいいから、ユーチューバーになれるよ」
とお返しした。
シュンが少し眉をひそめたので、男の子に『可愛い』と言うべきではなかったか? とミヨが考えていると、
「ぼくは、おとこだからね。
こえがわりするよ」
とシュンは言った。
ミヨは驚いた。
(シュンくん、もう『声変わり』なんて知っているの!?)
5歳児ってスゴいなとミヨは思った。
その後、やはり『今の5歳児』と言うか『今』は昔と感覚が違うな、とも思った。
(昔は『声が良い』と言うときは『歌手になれる』とか『アナウンサーになれる』とか言ったものだけど。
今は『Y○uTuberになれるよ』と言うのね)




