42話 関西弁
5歳の男の子シュンは2歳上の従兄マオがY○uTubeでゲーム実況を見ている隣に座っていた。
マオにはシュンもゲーム内容に注目していると思われていただろうが、シュンは内心思っていた。
(すごい関西弁だな)
ゲーム内容も一応見てはいたが、Y○uTuberのしゃべり――関西弁――に注目していた。
(よく考えてみれば『ごく自然の――普段使いの――関西弁』に触れ合うとは、あまりないものだな。
テレビに出てくる芸能人などのしゃべる関西弁は『全国の人が見てもわかりやすい関西弁』になるのではないか?
いや、テレビ事情など知らないが……)
普段関西に住んでいるだろう関西人の普段使いの関西弁……良いものだ。
と考えていたシュンはそのときハッと閃いた。
(言葉!
言葉で、俺が前世にどこにいたか、わかるかもしれんぞ!?)
例えば、まさに今聞いている『関西弁』。
もしシュンの前世が『関西人』なら、今でも関西弁がしゃべられるのではないか?
シュンは関西弁のゲーム実況者の口ぶりを真似してみることにした。
『ほんま、ここ、難しいんですよね』
と言う『文だけ見るとそこまで「関西弁」っぽくないがイントネーションが「関西弁」で、関西人でなければ正確に言えそうにない』と言うセリフを真似してみる。
「ほんま、ここ、むずかしいんですよね」
全然、イントネーション、真似できなかった。
(どうやら前世の俺は関西人ではなさそうだ)
と思ったところで、隣のマオがビックリ目でシュンを見ていることに気付いた。
「どうしたの、シュンくん……。
いきなり……」
「しゃべりかた、まねしてみた」
とシュンはY○uTuberを指差しつつ、仕方なく『嘘偽りないそのままの事実』を言った。
「え……。
関西弁の真似?」
マオは当惑した顔だ。
「うん」
「何で?」
「かんさいべん、ぼくもしゃべられるかなあ、とおもって……」
とシュンが嘘偽りなく言うとマオはしばらく『?』と首を傾げていたが……
自分も関西弁を真似し始め
「難しいね!」
とシュンに笑いかけた。
その後もマオは、先程のシュンのようにゲーム実況者の関西弁を時々真似してそのたびシュンに「全然、言えないや」と微笑み、シュンは少し申し訳なくなった。
※※※
それからと言うもの、シュンはテレビで『方言を喋っている人』に注目するようになった。
そして、そのセリフを復唱してみる……
両親はシュンの様子を微笑ましく見つつ
「子どもって何でも真似するのね~」
「ちょっと怖いよなー。
俺らも言葉には気を付けないと」
『普段の言葉遣い』を見直すのだった。




