34話 『スゴい機械』
5歳の男の子シュンは、保育園で同じ組の女の子ミヨの話を聞いていた。
ミヨは身振り手振りを交えつつ、休日の『お菓子作り』の経験を話す。
「ハンドミキサーという、『きかいのあわだてき』でグルグルざいりょうをまぜるの」
「すごいね」
(……と、これだけじゃ冷たいかな)
と思ったのでシュンは言い足す。
「おかしづくりも、きかいかだね」
(何を言っているんだ俺は。
『機械化』だと?
保育園児が何を……)
シュンは心の中で自分にツッコんだが、ミヨは真剣な顔で頷く。
「そうなの。
きかいがあるほうがらくなんだ」
(おお、ミヨちゃんはいつも通り自然な形で俺の変な発言を流してくれた……)
シュンはホッとしながら話を振る。
「これからは、なんでも、きかいになりそうだね」
「そうだね!」
「ハンドミキサーは『まぜるきかい』だよね?
じゃあ、『きるきかい』とかできるのかな?
『じどうほうちょう』とか、どうだろう?」
(『自動包丁』)
シュンは『自動包丁』のビジュアル――自動でまな板の上を上下に動く包丁――を思い浮かべてみて『機械化はなさそう』と思ったが……
「もう、あるよ」
とのミヨの答えに丸い目を向ける。
「えっ」
「『きるきかい』、もうあるよ。
『フードプロセッサー』」
シュンは自宅にもある機械を思い出した。
「ああ。
ウチにもある……」
「でしょ。
『まぜるきかい』とにているけど」
(考えてみれば、色んな機械があるなあ)
シュンは思い付いたことを話し始めた。
「ぼくがきかいでおどろいたのはね、れいぞうこが、かってにこおりをつくってくれること」
と言ってしまった後『何、当たり前のことを言ってるんだコイツ』とミヨに思われていないかシュンは心配したが、ミヨは真剣に頷く。
「わかる。
おさらなしで、つくれるんだよね」
(そうなんだよ!
家庭用の冷蔵庫で『製氷皿』なしで、氷が自動的にできる。
その驚きを『今の子』でもわかってくれるか……)
シュンがじ~んとしていると、今度はミヨが話し始めた。
「わたしがおどろいたのは、おふろのおゆが、じどうてきにちょうどよいおんどとりょうでとまって、しらせてくれること」
「わかる。
じゃぐちからおゆとみずをいれるんじゃないんだよね」
シュンが『同意』を示すと、ミヨは嬉しそうに顔をほころばせた。
2人は結論づけた。
「いまのきかいって、スゴいね」
「スゴい」




