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20話 神経衰弱

 5歳の男の子シュンは母親と共に近所の友達カズシの家に遊びに来ていた。

 カズシは6歳、小学一年生の男の子。

 シュンとは去年まで同じ保育園に通っていた。


 そして今。

 四人――シュン、シュンの母、カズシ、カズシの母――は向かい合って絨毯の上に広げたカードを見つめていた。

 トランプ遊びの『神経衰弱』中である。


「やった!」


 カードをそろえたカズシが叫ぶ。


「2連続!」


(ほぉ……)


 とシュンは感心した。


(子どもと言うものはなかなか記憶力が良いものなんだな)


 考える。


(俺も手加減などせず本気でやれば良いのだろうか?

特別頭が良く見えたら適わんと思って、わざと間違えていたが)


 眉をしかめる。


(しかし。

俺は5歳でカズシくんは6歳だ。

子どもの1歳差は大きいからな。

やはりまだまだわざと間違えるフリをした方が良いかもしれん)


 シュンは最近5歳の女の子ミヨ宅に遊びに行ったときのことを思い出す。

 そのときも4人――シュン、シュンの母、ミヨ、ミヨの母――で『神経衰弱』をやったが……。


(俺がわざと間違えて、正解のカードの左隣をめくる。

ミヨちゃんに正解のカードを引かせるために

「あれ?

このへんに『7』があったとおもったんだけどなあ……」

と口では残念がりつつ、心の中では

『ミヨちゃん、俺が今めくったカードの右に「7」があるぞ。

めくるんだ』

と思う。

しかしミヨちゃんは正解のカードの下のカードをめくるんだよなあ。

その次にお母さんが、正解のカードの斜め右下をめくり。

ミヨちゃんのお母さんが、正解のカードの斜め左上をめくる。

そして

「ああ~。間違えた!

シュンくん、ガンバレ!」

と言う。

俺は正解のカードの右横のカードをめくり、

「またまちがえた~」

と悔しがる。

その後やっとミヨちゃんは正解の『7』のカードをめくることができたのだ)

 

 シュンはひとり合点する。


(やはり5歳児はまだまだ『神経衰弱』が下手に違いない)


「シュンくんの番よ」


 とカズシの母が言うと、シュンはカードをめくった。


「うわ~! まちがえた~!」


 その次にシュンの母が間違えると、その次のカズシは


「へへ~。ココだよ~!」


 と正解のカードをめくった。

 シュンはそんなカズシをほのぼの見る。


(子どものドヤと言う顔は良いものだ)


 シュンはミヨを思い出した。


(しかしミヨちゃんは正解するとき少し申し訳なさそうな顔をする。

その顔も可愛いが……)


 シュンはひとり合点する。


(やはり男子(おのこ)女子(おなご)は子どもの頃からそう言うときの態度が違うものなのだろう。

男はつい調子に乗るが、女は優しいのだ)


 首をかしげる。


(いや、ミヨちゃんが特別優しい可能性はあるが……)

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