第二話
「わ、たしは…」
ウェルがどもりながら声を出し、すぐに口を閉ざしてしまう
ううん、こうなるのはわかっていたけど少し心にくるものがあるな
「悪い、モネ
こいつ他人が苦手だから…」
「申し訳ないですが彼女はそういう性格ですのでそんな切なそうな表情をしないでくださいまし」
「いや、それなら仕方ないね、ごめんよ」
そんなに表情に出ていただろうか
「こいつの名前はウェル、今は僕の家に居候しているんだ」
「ありがとうなナグウェリア
ウェルさんだね、苦手ならそれで構わないよ、よろしくね」
「…は、い……」
こくりと頷くウェル
……彼らはこう言ったがウェルは彼女の本名ではない
本名はユエリア、ユエリア・フレイ・ユーラリシア
…この国の王家の一族だ
彼女が話すまではあまり考えないようにしておこう…
ユエリア…ウェル自身は鮮やかな金髪に深い海のような蒼の瞳を持つ魔族だ
魔族の特徴である角はとても鮮やかな白銀に輝いている
「あ、そうだ」
「ん?なんだ?」
ぽつりと呟いた言葉にユウが反応する
「しばらくこの辺りでお世話になろうと思っていてね、ここに居させてもらってもいいかい?」
「ああ、構わないぜ!」
「そうか、それはありがたいな
私の姿は人にあまり見えないらしくてね、町や村に行っても私の姿を見てもらえない可能性があるから困っていたんだよ」
私の言葉にナギが眉をひそめる
「じゃあなんで僕たちに見えるんだ?」
「親和性が高いから、だな」
「親和性?」
レミアが不思議そうな顔をする
「そう、親和性
私は人ではなく精霊だからね」
「マジか!すげえな!」
ユウが目を輝かせて私を見る
ナギは相変わらず難しい顔のままだ
「それに、私は精霊としてはかなり弱い方なんだ
人間並みの力しか無いし、親和性が合うものか相当な魔力を持つもの、魔眼持ちしか私のことは見えないだろうね」
「…なるほど、そう考えると僕たちは相当親和性が高いってことか」
納得したのかナギが私の目を見たそのタイミングで鐘の音が聞こえてくる
慌てて立ち上がるナギ達
「やべえ戻らねぇと怒られる!」
「急ごう、おっさんはここにいるんだろ?」
「そのつもりさ」
「じゃあ明日また来っから!」
「明日またお会いしましょう!」
四人が慌てて村へと駆けていく
私はそれを見届けるとローブの中から本とペンを取り出した
魔族 角が特徴的な五種族の1つ。
過去に悪魔と呼ばれていた種と人族が混ざった結果生まれた為そこまで歴史は古くないが天使族に次いで多い
角と魔力の質や種類が直結していることは知られていない