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生きた意味とR.I.P.

狼系の獣人人外を想像してたけど描写出来なかった……

うむむ、まだまだ修行が足りない……

 ──嫌いだった、晴れの日が。


 空を見ると……綺麗な、汚れなんて一つもない空を見ていると、自分が惨めに思えたから。





 その日も晴れていた。

 それも……雨の後の快晴、一番綺麗な時だ。



 痛みはない、苦しくもない。

 ただ、何も考えられなくなって消えていくだけ。






 『お前は失敗だった……一年しか生きられない

 だから好きに生きろ 』




 告げられた自らのタイムリミットと共に棄てられた俺。


 科学者の私利私欲の為に造られ、身勝手に……ただ"失敗だった"という理由でゴミのように棄てられた。





 世界は荒廃し、人は新たな地球として火星へと移住していた世界。


 誰もいない世界を、たった1人で歩いた。



 初めて見る世界は、綺麗だった。


 空も、水も、何もかも無機質なコンクリートやガラスケースじゃなくて……本当に、綺麗で。



 でも、自分の身体は……気持ちの悪いもの。

 人ではない、人を造ろうとした時の"出来損ない"。



 誰からも必要とされない、ゴミ。









 だから嫌いだった。


 全部……嫌いだった。















 心臓は力なく動く。

 もうすぐ俺は死ぬのだろう。






 俺は世界からも、誰からも望まずに産まれてきて……俺自身、何も残す事は出来ずに死んでいくんだろう。



 でも……。





 「ウェルっ、大丈夫……気をしっかりっ……! 」




 俺の手をこれでもかと強く握り締めながら、1人のまだ若い少女が何か手はないかと考えていた。




 ──ただ一つ、この栗色の髪の綺麗な少女を……レラを護り通せた。




 「……ありがとう、な 」




 彼女に俺は笑いかける。

 ──彼女にずっと教えてもらった、上手くは出来なかったけど。




 「ウェルっ……なんで?

 なんで……嫌だよ…… 」





 ──その疑問には俺も答えられない。

 ただ一つ分かるのは……俺の運命はもう変わらない事。




 だから──。







 「……お前が 」









 ──初めて会った時、お前はたった1人で……俺の事を怖がってたな。

 飯をやったらすぐに近づいて来たけど。




 ──それから色んなところに行って、彼女がこれからも生きていけるように護り、育てようとした。





 ──俺は両親を失ったレラのいい親代わりにはなれなかったし、こうしてまだ若い彼女1人残して逝ってしまう。




 まだ色々してやりたかった。



 俺は力を振り絞り彼女の頭に手を置く……本当なら撫でてやりたかったが、どうしても無理だ。






 「お前が……俺の生きた意味だ 」




 ──だから、幸せに生きて欲しい。






 「ウェルッ! 」




 彼女は俺を強く抱き締めた。


 ──全く、サヨナラっていうのは笑顔でするもんだって……お前が言ったんだろう?



 「ありがとう……幸せになってくれよレラ? 」




 俺はレラの温もりを感じつつ、暖かな闇の中に沈んでいった。




















 "R.I.P."




 安らかに眠れ──。



 そんな文字が刻まれた木の小さな墓標の前には、花が供えられている。




 「ウェル……ありがとう 」



 その前に立つ1人の女は立ち上がる。


 その両腕には、1人の赤ん坊が居た。




 「あなたもう……おじいちゃんね 」



 そう彼女は苦笑した。







Fin

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