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戦隊パパパイマン!

作者: ケムマキコジャラ

ある街の、ある高校の校庭から物語は始まります。




女子高生:「きゃー!ちょっ!やめっ!キンもっ!」


怪人:「大人しくしろゲハハハ!」



そうです。この世界ではたまに怪人が現れ人を襲うのです。


緑の巨大カメレオンのような怪人は女子高生をパシパシと叩きながら腕を引き、連れ去ろうとしていました。



女子高生:「誰か!たすけてー!!!!」



その時です。


校庭に大きく響いた悲鳴を待っていたかのように掛け声があがりました。



「パパパイ!パパパイ!パパパイ!パイ!この世に生まれし悪を断つ!正義の・・・なんだ?えー、正義の思想の、、、えー、、悪のいない世の中を目指して!パパパ~イマン!参上!」


大事なセリフの大半を忘れ、テンポも歯切れも悪く強引に登場しましたパパパイマン!



女子高生と怪人は思いました。


「ちょっと遠いけど、校舎の屋上になんか来た・・」


パパパイマンは5人組!


レッド、ブルー、イエロー、グリーン、そしてピンク!


ポーズを決めながらレッドは言いました。



「待て待てーい!怪人・・・・!!・・・・だっ!」




怪人は大きな声で言いました。


「ちょっごめー!?ちょっと遠くて何言ってるかわからないんだけども!!?」


女子高生もそれに同意しました。



ヒーローは高台に登場する。


この原則に従い過ぎたために起こったミスです。


仕方がないのでパパパイマン達は、校庭に降りてきました。



「待て待てーい!怪人め女子高生を離せ!さもないと成敗だ!」


2回目の同じセリフなので少し恥ずかしそうでした。



ジャーン!!ジャッラーン!!♪



するとどこからともなく音楽が流れはじめます。


怪人も女子高生もあたりをキョロキョロします。


パパパイレッドもキョロキョロしてます。




「あ!俺の携帯だわ!」


パパパイグリーンの携帯電話でした。


「はい。あ、お世話様です~。えっ!?そうなんですか?いやっちょっと・・・・できるだけ急いでもらえます~?」



旧型の折りたたみ式携帯電話をパタンとたたむとパパパイグリーンはレッドに小声で言いました。


「・・ジャイアントロボが電車の遅れで、すぐには来れないって・・」


レッドはかなりうろたえました。なぜなら最後の切り札だからです。


というかほぼ最初の切り札なのです。



「くそうっ!」



仕方がないので、レッドはトークで間を持たせる戦法にでました。


「怪人めぇ!貴様、、、聞いて驚くな!?このパパパイピンクはな、、、実は中身おっさんだ!」


レッドはピンクのマスクを取りました。


とても普通なおじさんの顔があらわになりました。



怪人の反応はイマイチでした。



くっ!



レッドは、それでも続けます。


「しかも今婚活中だ!というか俺たち皆独身だ!!実は結構な歳なんだ!」


「歳」と発言しレッドは自分で虚しくなりました。


この校庭の風景も自分にはとても遠い思い出なのです・・・・



哀愁が漂い風に吹かれて固まってしまったレッドをすかさずブルーがフォローします。


「でもー、俺たちは今こうして輝いてるのさー!♪さんっはい♪」


ブルーは手拍子をはじめました。


リズムネタです。リズムネタに持っていくつもりなのです。


「はいっさんはい!イエロー!♪」


イエローに、まさかの無茶ぶりです。


「イエロー!さんっはい!♪」


イエローは、左右の腕を曲げながら小さく交互に上下しました。


イエローにはこれぐらいが精一杯なのです。




怪人はもう飽きてきました。


女子高生にいたっては眠くなってきました。



すると校門のあたりに、手を振っている人影が現れました。


レッドは、はっと我に返りその人影に気づきました。


なんと遅れていたジャイアントロボが来ていたのです。


レッドは言いました。


「木田さーん!こっちこっちー!」


本名で呼んじゃいました。


ジャイアントロボは、校門から走ってきました。


バッコンバッコンと黒い四角い足を、バタつかせてこちらへ来ます。


怪人と女子高生は、目を細めてぜんぜんジャイアントじゃないジャイアントロボを見て思いました。


「あれ、、ダンボールじゃね?」


ジャイアントロボがどんどん近づくにつれかなりムラのある作りであることがわかります。


「やっぱダンボールじゃね?」


あと10mほどのところに近づいたとき、事故は起きました。


ベリっ!ベリべりー!


なんとジャイアントロボの膝の部分が、破けてすね毛の濃い足があらわになってしまったのです。


「まんまダンボールだわ。」


怪人と女子高生は、まんますぎて拍子抜けです。



「ぜぇはぁぜぁはぁ、ぜっふぐっ」



と息を荒らすジャイアントロボの木田さんは、レッドの前に立った頃にはまるで致死性の呼吸不全でした。


「ちょタンマ!ぜはぁぜはぁ!ちょタンマ!」


ジャイアントロボ木田さんは、膝に手をつき片手のひらを前に向け制止を求めました。



レッドは木田さんの体調を気遣いつつ言いました。


「お疲れ様です。すみません。毎度、御足労をおかけいたします。」


木田さんは言いました。


「いやっはぁはぁ、仕事だし、、、はぁはぁ。あ、コレ、、、、」


いまだ呼吸が荒い木田さんは、すっと請求書のような書類を差し出しました。


というか請求書でした。



「ぜっ、、前回のやつ。はぁはぁ」



レッドは受け取りを躊躇しましたが、しぶしぶ受け取りました。


「あ、はい。前回の分ですよね。あ、はい。」



そのやりとりを、女子高生と怪人は校庭のベンチに座って見ていました。


もう立ってるのも疲れてきたのです。



レッドは気を取り直してさっと身構えて言いました。



「怪人め!!貴様の悪行もここまでだ!覚悟しろ!」



怪人は、覚悟もなにもベンチでペットボトルのお茶飲んでました。



女子高生なんてすでに帰りの身支度です。



レッドは、木田さんに耳打ちをしました。


「合図しますので例のヤツやってください、、、、」



怪人はお茶請けに饅頭が欲しいところです。



「さぁたてぇ!怪人め!ジャイアントロボのロケットパンチを喰らえ!」


怪人はすっと立ちました。



「木田さん。例の新しいヤツですよ。」確認するように小声で言うレッド。



ジャイアントロボ木田さんはやや重そうに右手を怪人に向け左手でそれを支えました。



怪人は、すかさず横に避けました。


木田さんもそれを追って右手を向けます。


怪人は、さっさっとさらに横に逃げます。


なぜならこんなにわかりやすすぎる攻撃をわざわざ食らう手はないからです。


木田さんも追いかけますが、右手がプルプルし始めました。



夕暮れが迫りカラスが鳴きます。



レッドは言いました。


「貴様!往生際が悪いぞ!さっさとロケットパンチを喰らえ!」


レッドの焦りは、木田さんに発生する時間給を気にしてのことです。



怪人は言いました。


「いや。つかもう帰っていい?」



レッドは言いました。



「なんだとぉ!ならば女子高生を解放しろ!」



というか女子高生の姿はすでになく、とっくに家路についてます。


怪人は言いました。


「ねっ?ほらっもう良くね?」


レッドはこんな締まりの悪い最後があってなるものかと叫びました!


「ロケットパーンチ!!!!!」


それを合図に木田さんの右手が火を噴いた!!!



ドゴォオオオオオオオオオオオオオオ



凄まじい勢いでロケット噴射した右手はパンチの方ではなく木田さんの身体を後方に吹き飛ばしました!!


そしてグングンと上昇し始めた木田さんは、空高く舞い上がりついにはキラリと星になりました。


怪人とパパパイマン5人は、それを首が痛くなるほど見上げ見届けました。


明らかな設計ミスです。



怪人は言いました。


「すごいね。」



レッドも思わず言いました。


「だいぶすごいね。」





カラスの鳴き声がまた聞こえました。




どんどんと遠ざかる校庭。



校庭は街の中の点になり、街がまた点になり雲を突き抜け、やがて地球の丸さを感じる高さにまで上昇したロケット木田さんは思った。



「そういえば請求書に俺の振込先書いてないな・・・」



さようならジャイアントロボ。



怪人とパパパイマンはこれにて解散!



おしまい。

僕の人生で2作目となります。今回の小説(?)は、前作と打って変わって笑い系にしてみました。基本的に頭はアホなんです。

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