設定なしの時限爆弾
人間ってこんなものですよね、結局自分が知っているということに満足せず、誰かに伝えることで優越感を感じようとする。
この物語はフィクションですので、ご安心ください。
世の中にはリア充と非リア充という、曖昧であるが大きな格差のある区分が存在し、落下した者はその世界に馴染むまで、集団内で晒し者になる。
俺みたいな非リア充にとって、リア充は射的の的のようなものである。日々落下することを願う…いわゆるリア充爆発を願い続ける日々を過ごしている訳だ。
さて、俺は先日衝撃的な光景を見てしまった。古くからの友人である高橋は、才女と呼ばれている同じクラスの森島と付き合っているのだが、あいつが一つ上の学年のアイドル的存在の咲先輩と水族館でイチャイチャしてるところを偶然目撃してしまったのだ。なぜ俺が1人で水族館にいたか、という根本的問題には触れないでいただこう。
これは好機だ。志を叶えられるチャンスがあって掴まないのは、男じゃない。
時限爆弾をしかけよう。
導火線の先端には、友達の大石を。
「おい、大石。ちょっとこいよー!お前、ここだけの話な…あの高橋が咲先輩と水族館でイチャイチャしてるの、俺見ちゃったんだよ…。あいつ二股かけてんのかな…。」
これで完了。
原理はお分かりいただけるかな。火は着実に爆弾へと進む。いつ爆発するのか楽しみに思いつつ、普段と変わらぬ生活を送ろう。