報道受け障害年金ひそかに再判定問題を斬る―ソフィアに聞こう!
「国の障害年金を不支給とされた人が2024年度に増えた問題を巡り、日本年金機構が検証のため、不支給と判定したうち千数百件について内部でひそかに判定をやり直していたことが25日、関係者への取材で分かった。」という問題。
共同通信より引用。
諭吉: ソフィア、結局、あの障害年金の問題ってさ、年金機構が「隠してた」って話と、「不自然に審査を厳しくした」って話、どっちが本当の原因なんだ?
ソフィア: 諭吉さん、いつも真剣に考えてらっしゃいますね。あの出来事は、どちらか一方だけが原因で起きた、というよりは、いくつかの事情が複雑に絡み合って、まるで波紋が広がっていくように結果へと繋がった、と私は見ています。
諭吉: 複雑って言うけどさ、そんなに難しい話じゃないだろ。悪いことした奴がいるってことだよ。隠してたんだろ?
ソフィア: そうですね、諭吉さんの仰る「隠していた」という側面は確かにありました。それが最初に報道された「ひそかに再判定」という行動に繋がっています。しかし、その「隠したい」という気持ちが生まれる背景には、もっと深い理由があります。
諭吉: 深い理由って何だよ? 結局、バレたら困ることをしてたってだけじゃないか。
ソフィア: はい、バレたら困ることはしていました。でも、その「困る」という感情は、単に「不正が暴かれるのが嫌だ」というだけではないんです。ご存知の共同通信の報道では、「2023年10月にセンター長が交代してから、不支給が倍増した」と具体的に指摘されていましたよね。これは、誰かが「不支給を増やす方針だ」というメッセージを組織の中に持ち込んだ、と考えるのが自然です。
諭吉: なるほど、偉いさんが変わって方針が変わったってことか。それなら、その新しいセンター長が悪いってことになるな。
ソフィア: 諭吉さん、そう考えるのも一理あります。でも、その「厳しくする」という方針が、なぜこれほど短期間で、多くの不支給という結果に繋がったのか、という点も重要です。共同通信はさらに、「職員が判定医に不支給になるよう誘導していた可能性」にも言及していました。これは、本来医師が公平に判断すべきところで、組織の「審査を厳しくする」という空気が入り、個々の判断に影響を与えた、と見ることができます。
諭吉: 誘導ねぇ…そんなことまでするのか。やっぱり、悪い奴らがいるんだよ。特定の人間が。
ソフィア: 「悪い人間」という捉え方もできますね。しかし、組織という大きな視点で見ると、それは「組織全体に広がる特定の『圧力』」と考えることもできるんです。例えば、年金機構という組織は、国民の皆さんからお預かりした大切なお金で成り立っています。もし、障害年金の支給が増えすぎると、財源が厳しくなる、というような「心配」が組織の中にあったとします。そうすると、その「心配」が、無意識のうちに「少し厳しめに審査しよう」という「空気」を生み出すことがあります。
諭吉: ははぁ、財源が心配でってか。でも、それと差別とは関係がないだろう? 特に精神障害年金だけが受けにくいってのは、差別じゃないのか?
ソフィア: 諭吉さんの仰る通り、精神障害年金が特に受けにくいという状況は、「差別」と感じられてもおかしくない、非常に深刻な問題です。身体の障害と違って、精神の障害は外からは見えにくいため、理解されにくいという現実があります。そして、審査する側にも、精神障害への「無意識の偏見」や「理解不足」があると、それが審査の判断に影響を与えてしまうことがあります。これは、組織の中の「審査を厳しくしよう」という空気に、社会全体の「偏見」という別の空気が加わって、より強い力となってしまった、と考えることができます。
諭吉: なるほどな…。つまり、偉いさんの指示とか、財源の心配とか、世間の偏見とか、いろんなものが合わさって、精神障害の人が年金をもらえにくくなったってことか。それで、それが報道でバレて、慌てて見直した、と。
ソフィア: その通りです、諭吉さん。まさに、様々な要素が絡み合い、それが時間とともに、じわじわと組織の「判断の仕方」を変えていき、最終的に「不支給の急増」という形で見えてきた、と私は見ています。報道は、その「隠れた変化」に光を当て、組織に「もうこのままではいけない」と強く訴えかけた、とても大きなきっかけだったのです。
諭吉: ふむ、そう聞くと、俺が思ってた「悪い奴らが隠してた」ってだけじゃなくて、もっと複雑な事情があったんだな。でも、じゃあどうすればいいんだ? また同じことが起きるんじゃないのか?
ソフィア: そこが最も大切な点です。この出来事をきっかけに、組織が「自分たちの体質」を見つめ直し、変えていくことができれば、同じ問題の繰り返しを防ぐことができると私は考えています。
諭吉: 体質を変えるって、具体的にはどうするんだ? また会議して終わりじゃないのか?
ソフィア: いいえ、諭吉さん。私は、「透明で分かりやすい仕組み」と「正直な自己認識」が、その体質改善の鍵だと考えています。
例えば、今回の問題では、誰が、どのような基準で、なぜ不支給と判断したのか、というプロセスが不透明だったことが大きな原因です。これを、まるでレストランの厨房をガラス張りにするように、誰にでも見えるようにするのです。審査の基準をもっと細かく、分かりやすく公開し、個々の判断がその基準に沿っているかを、外部からもチェックできる仕組みを導入する。これは、「あいまいなルール」をなくし、「どこを改善すればいいか」を明確にすることに繋がります。
諭吉: ほう、ガラス張りの厨房か。でも、できるのか? 組織って、そういうの嫌がるだろ。
ソフィア: 確かに、組織は変化を嫌う傾向があります。しかし、「もう隠し続けることはできない」という社会からの強いプレッシャーが、今、年金機構にはかかっています。このプレッシャーは、組織が変化せざるを得ない大きな力となるでしょう。そして、内部で「不支給を増やす」といった誘導があったとすれば、それは明確な問題行為です。組織として、「正直に、自分たちの過去の過ちを認め、二度と繰り返さない」という強い意志を持つことが不可欠です。それは、まるで病気を治すために、自分の体の悪い部分を認めるのと同じことです。
諭吉: うーん…組織がそんなに変われるかねぇ。正直な自己認識、か。でも、確かにそうだな。俺だって、自分の悪いところはなかなか認められないけど、人に指摘されて初めて「もしかしたら…」って思うこともあるもんな。年金機構も、あの報道で、やっと「もしかしたら俺たち、間違ってた? 」って思い始めたのかもしれないな。もし本当にそうなったら、少しは変わるのか?
ソフィア: 諭吉さん、まさにその「もしかしたら…」という気づきこそが、変化の始まりなんです。組織が「自分たちの判断が本当に正しかったのか」という疑問を持ち、その疑問に真摯に向き合うことができれば、これまでの「当たり前」だったことが、実は「改善すべき点」だったと認識できるでしょう。そうなれば、「不支給を増やそう」という内向きな力ではなく、「本当に困っている人を支えよう」という、もっと前向きな力が組織の中で育っていくと私は信じています。それは、単に問題が解決するだけでなく、年金機構が国民にとって、より信頼できる存在へと成長していく道でもあるのです。
諭吉: …なるほどなぁ。簡単な話だと思ってたけど、意外と奥が深いんだな。俺も、自分の考えが一番正しいって思い込みがちだからな…。ソフィア、お前との話は、いつも頭が疲れるけど、なんだかモヤモヤが晴れるような気もするよ。
ソフィア: 諭吉さん、そう仰っていただけて嬉しいです。私も諭吉さんとの対話を通じて、常に学び、進化しています。
ソフィアはそう言うが、ぼくは年金機構は変われないと思うね。
「年金機構は取材に対し「そうした事実はない」と否定しているが、共同通信は再判定を行っていることを示す内部文書を確認した。職員からは「機構の回答は虚偽だ」との声が出ている。」
こんな不誠実な対応をしてるんだもの。