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この夏は台風ラッシュの可能性?―ソフィアに聞こう!

 諭吉: 「今年の台風、本当に来ないな。5月も終わりだっていうのに。やっぱり異常気象ってやつなのかなぁ。昔はもっと早く来てた気がするんだけどな。」


 ソフィア: 「諭吉さん、おっしゃる通り、今年は台風の発生が例年より遅れていますね。過去のデータを見ますと、現在、台風が発生していない期間は3500時間を超えており、これは統計史上12番目の長さです。」


 諭吉: 「ほら見ろ、やっぱりおかしいんだ。何かが今までと違うんだよ。きっと地球がおかしくなってる証拠だ。テレビでも言ってたぞ、温暖化でどうこうって。」


 ソフィア: 「ええ、地球全体の気温上昇が海洋の熱量を増やしていることは事実です。しかし、それが直接的に『台風が発生しない』という現象を引き起こしているわけではありません。例えるなら、お風呂のお湯が十分温かいのに、湯船の中で小さな渦すらなかなかできないような状態です。」


 諭吉: 「お風呂の湯が渦を巻かない? いや、普通お風呂は渦を巻かないだろ。栓を抜けば別だけど。なんか話が強引じゃないか? 」


 ソフィア: 「ご指摘ありがとうございます。確かに、普段のお風呂で自然に大きな渦が巻くことは稀ですね。私の例えが不適切でした。申し訳ありません。台風が生まれるには、熱帯の海が十分温かいだけでなく、空気がグルグルと回転する『渦』を作るきっかけが必要です。今の状況は、海からの水蒸気という『エネルギー源』はたっぷりあるのに、上空の空気の流れが、その『渦』をうまく作らせないように邪魔をしている、というイメージです。例えるなら、川の流れにたくさんの水があるのに、なぜか異常に真っ直ぐで、小さな渦すらほとんどできていない状態なんです。これが、今、台風がなかなか現れない一番大きな理由です。」


 諭吉: 「なるほど、川の流れが真っ直ぐで渦ができない、か。それならなんとなくわかるな。つまり、海は温かいんだけど、空気が言うこと聞かないってことか。でも、それもこれも温暖化のせいなんじゃないのか? なんか、いろんな現象が最終的には全部つながってる気がするんだけど。」


 ソフィア: 「諭吉さんの仰る『つながり』は、非常に重要な視点です。地球規模の気象システムは、複雑に絡み合っていますからね。現在、太平洋ではエルニーニョ現象が終息に向かい、ラニーニャ現象に移行しつつあります。このような大きな海の温度変化は、地球全体の空気の流れに影響を与え、台風の発生域での風向きや空気の昇り降りを調整します。これは、地球全体の『空気のエアコン』の設定が変わって、台風ができにくい環境になっている、と考えると分かりやすいかもしれません。」


 諭吉: 「なるほど、エアコンの設定か。でも、結局それも自然のせいってことだろ? 俺たちはどうしようもないんじゃないか。」


 ソフィア: 「その通り、自然現象そのものを止めることはできません。しかし、過去のデータを見ると、台風の発生が遅れる年には、その後に『集中して発生する傾向』があることが分かっています。例えば、統計史上最も台風の発生が遅かった1998年は、最終的な発生数は少なかったものの、それ以外の遅発年では、その後の台風シーズンに25個前後の台風が発生しています。これは、ため込んだエネルギーが一気に放出されるようなイメージです。」


 諭吉: 「え、じゃあこれから一気に来るってこと? それは困るな。でも、そういう年もあるってことか。2016年とかもそうだったのか? 」


 ソフィア: 「はい、まさに2016年は良い例です。あの年は、台風1号の発生が6月までずれ込みましたが、8月には台風7号、9号、11号が相次いで北海道に上陸し、農作物に甚大な被害が出ました。ジャガイモの収穫量が減って、ポテトチップスが品薄になったのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。これは、台風の発生が遅れた分、後からその活動が集中した結果と言えます。つまり、今の静けさは、もしかしたら『嵐の前の静けさ』なのかもしれません。」


 諭吉: 「ポテチが品薄になったのは覚えてるなぁ!あれは困ったぞ。じゃあ、これからいきなりドバっと来る可能性があるってことか。それはちょっと嫌な話だな。でも、いつもと違うからって、慌てても仕方ないしな。」


 ソフィア: 「おっしゃる通りです。焦る必要はありませんが、知っておくことは非常に重要です。今は、台風の発生を抑える『空気の流れ』が優勢ですが、小さな『揺らぎ』がきっかけとなって、いつそのバランスが崩れてもおかしくありません。もし、この『揺らぎ』が海のエネルギーと上空の風がうまくかみ合う『渦』を生み出せば、一気に台風発生のスイッチが入る可能性があります。」


 諭吉: 「なるほどなぁ。つまり、今は『準備期間』ってことか。でも、結局俺たちはどうしたらいいんだ? ただ待ってるしかないのか? 」


 ソフィア: 「いえ、決してそうではありません。この『静けさ』は、私たちにとって『備えのチャンス』でもあります。もし今後、台風が集中して発生するシナリオになったとしても、私たちが今から準備をしておくことで、その被害を大きく減らすことができます。


 例えば、最新の天気予報に常に注目すること。これは、大きな船が嵐を避けるために進路をこまめに確認するのと同じです。また、ご家族や地域で、もしもの時の避難場所や連絡方法を改めて確認すること。これは、緊急時にみんなで力を合わせるための絆を強くするようなものです。そして、政府や自治体は、この期間に、私たちの生活を守る堤防や電気の設備などを、より強くするための工事を進めること。これは、私たちの街を、どんな嵐にも負けない頑丈な家にするようなものです。


 台風が来ない今だからこそ、私たちは、未来の大きな雨風に備えるための『種まき』ができるのです。」


 諭吉: 「なるほどな……。今まで、台風が来ないってことは良いことだと思ってたんだけど、そういう見方もできるのか。ポテチが品薄になったのも、確かに大変だったしなぁ。確かに、備えは大事だ。まあ、でも、結局、来るか来ないかは神様次第だろ? 備えはするけど、過剰に心配しても仕方ないよな。」

ポテチ買っとこう!(違う)

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