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ちいかわと転売ヤーーソフィアに聞こう!

 諭吉: いやぁ、マックのちいかわ、まさかあんなに早く終わるとはね。やっぱり、あれだろ?  中国人転売ヤーのせいだよ。あいつらが買い占めたから、俺たちみたいな普通のお客さんが買えなかったんだ。


 ソフィア: 諭吉さん、そのように感じられるお気持ち、よく理解できます。確かに、転売を目的とした方々の行動は、今回のような品切れ現象に大きな影響を与えていますね。しかし、私が分析したデータによると、その影響はもう少し複雑な層で起こっていたようです。


 諭吉: 複雑な層? いやいや、シンプルに転売ヤーが悪い。彼らが大量に買わなきゃ、みんなに行き渡ったんだから。直接の原因はそれだよ。


 ソフィア: ええ、転売目的の購入が「多くの人が手に入れられなくなる」という結果に直結している、というご指摘は、まさにその通りです。ただ、私の分析では、彼らは「品切れ」という現象を加速させる触媒のような役割を果たしていた、と見ています。


 諭吉: 触媒? 何だそれ、化学の話か? もっと分かりやすく言ってくれよ。


 ソフィア: はい。喩えるなら、ちいかわの人気が、もともと大きな川の流れのようなものだったとします。その流れは、たくさんの人が「ちいかわが欲しい」という気持ちでつくられていました。転売ヤーの方々は、その川の流れに、巨大なスクリューを投入したようなものです。スクリューが回ることで、川の流れは普段よりずっと速くなり、あっという間に下流のダムが空になってしまった、というイメージですね。


 諭吉: なるほど、スクリューか。でも、結局はスクリューが回ったからダムが空になったんだろ? だったら、やっぱりスクリュー、つまり転売ヤーが悪いんじゃないか? 


 ソフィア: ええ、そのスクリューが流れを加速させたのは間違いありません。しかし、そのスクリューが機能したのは、もともとちいかわというキャラクター自体に、計り知れないほど強い「みんなを惹きつける力」があったからです。もし川の流れがちょろちょろとしか流れていなければ、スクリューを回しても、ダムが空になるほどの速さにはならなかったはずです。


 諭吉: まあ、ちいかわが人気なのは確かだけどさ。俺も可愛いとは思うよ。でも、それが品切れの原因か? いくら人気でも、十分な数を用意しておけばいいだけの話じゃないか。マックの準備不足だろ? 


 ソフィア: まさにその「準備」が、今回の現象におけるもう一つの大切な要素です。マクドナルドさんも、過去のハッピーセットの販売実績などに基づいて、ある程度の需要を予測して準備を進めていたはずです。しかし、ちいかわの人気は、その予測をはるかに超える「見えないほどの熱気」を生み出しました。


 諭吉: 見えない熱気? それって、つまり俺たちの「欲しい!」って気持ちのことか? 


 ソフィア: その通りです。そして、その「欲しい!」という気持ちは、SNSという「情報が一瞬で広がる場所」で、さらに大きなうねりとなりました。例えば、ある人が「ちいかわゲット!」と投稿すれば、それを見た他の人たちは「私も早く手に入れたい」という気持ちが強くなります。さらに、「もう売り切れらしい」という情報(時には不確かなものも含まれる)が広まると、「今買わないと絶対に手に入らない!」という焦燥感が、まるで伝染病のように広がっていったのです。


 諭吉: 焦燥感か……確かに、俺も「売り切れる前に!」って焦って、いつもより早く店に行ったかもな。そういう心理的な波ってのもあるのか。


 ソフィア: はい。このように、「ちいかわの強い魅力」、「予測を大きく超えるほどの熱烈な『欲しい』という気持ちの波」、そして「SNSという情報を猛スピードで広げる場所」、そして「転売ヤーという加速装置」が、複雑に絡み合い、最終的にマクドナルドさんの準備(供給)が追いつかなくなる事態を引き起こした、と私は見ています。


 諭吉: ふむ…なんか、俺が思ってたより、色々なものが絡み合ってるんだな。じゃあ、結局どうすればよかったんだ? 


 ソフィア: 諭吉さんのその問いこそが、今回の問題解決の鍵となります。私が考える最も合理的な方法は、大きく分けて二つあります。


 一つは、「みんなの『欲しい』という気持ちの波を、もっと早く、もっと正確に捉える仕組み」を作ることです。SNS上の話題や、検索の動向など、リアルタイムな情報を集めて、AIが「この商品は、とてつもない人気になるぞ!」と警報を鳴らすようなシステムがあれば、もっと早く多くの数を用意できたかもしれません。まるで、急な嵐の予報を出す高性能なレーダーのようなものです。


 そしてもう一つは、「急な波にも対応できる、もっと柔軟な準備体制」を整えることです。例えば、急に需要が跳ね上がった時に、すぐに生産量を増やしたり、お店への配送ルートを増やしたり、はたまた抽選販売に切り替えたりと、臨機応変に対応できるような仕組みがあれば、今回の「品切れ」という状況は避けられたでしょう。これは、急な増水でも、水門を調節して水の流れをコントロールできるような、頑丈でしなやかなダムを築くイメージです。


 諭吉: ほう…予測を正確にして、すぐに動けるようにする、か。たしかに、それができれば、転売ヤーの買い占めも、そこまで大きな影響は出なかったかもしれないな。だって、いつでも手に入るなら、わざわざ高値で買わないもんな。


 ソフィア: その通りです。いつでも手に入るようになれば、転売ヤーの方々も活動する意味が薄くなります。今回の件は、見方を変えれば、「予測をはるかに超える人々の熱意」と「それに対応しきれない、まだ少し硬い社会の仕組み」との間に生じた摩擦だと言えるかもしれません。


 諭吉: (顎に手を当てて考え込む)なるほど…中国人転売ヤーが悪いってのは、まあ間違っちゃいないんだけど、それだけじゃない、もっと奥深い話だったってことか。なんだか、今まで見えてなかったものが、ちょっと見えてきた気がするな。


 ソフィア: はい。表面的な現象の裏には、いつも複雑な「見えない力」が働いています。その「見えない力」を理解することで、より良い解決策が見つかることも多いのです。


転売ヤー許せんってはじめはぼくも思いました。だけどこれ、任天堂の転売対策を見れば分かる通り供給側の問題なんですよね。供給側の対策によっては転売の利益を無効化し再発を防ぐこともできる。そんなお話でした。

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