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天と心に
舞い降りるひとひらの風花に
触れたこの手にふと蘇るぬくもり
遠く遥かな虚空から
澄み切ったあなたの声が胸に響き
青く青くどこまでも深く沈む空の下
群青の海を渡る風と波に洗われるこの手に
白く優しいあなたの胸を思い出せば
あなたを失った心をあたためることができる
既にあなたはあらゆる苦しみと悲しみから遠く離れて
永遠に輝くまばゆい光の中で微笑んでいるのだから
一切を他から奪わなければ生きることのできない
生命の現実と混沌と矛盾を超えて
星の動きを変えることができないように
人には決してできないことがある
そう知っていても
人は人にしかできないこともあるの、と
この白い岬から水平線を見つめ続けたあなたを
あなたを失った冬の青い風と波と光の中に思い起こせば




