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航跡
遠い雪雲の下
透明な水平線
目を閉じて振り返ると
澄み切った冬
見つめ合う笑顔が
風を切って夕陽に照らされ
靴音を響かせ階段を駆け上っていく
真っ白な踊り場に濃紺のスカートを翻して
鮮やかに新しい定理を導く君の声は
誰も知らなかった純正律
いつまでも永遠に僕たちは
あの屋上の先に光る雲と無限の空にあこがれたまま
君を失った今も君とふたりで
どこまでも真っ白な階段を上り続けていることに気づく
新しい夢を語る君の声を
忘れることのない胸の高鳴りとともに
目を閉じればいつでも
今もみつめあって旅を続けることができるのだから
あの水平線へ向かう白い航跡のように
遥かな未来の幸福な予感を
心に残したまま




