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幻の鏡
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忘れてはなりません
あなたが幸せであるための美徳を
幸せになるための何か、ではなく
今ここに幸せであるための美徳を
あなたが幸せでありさえすれば
僕は幸せなのです
鏡に映るあなたの姿を
僕は見ています
鏡に映ったあなたに
恋しているのかもしれません
それはあなたであって
あなたではない
あなたの幻
かもしれません
けれどそれでいいのです
それだけが許されているのだから
あなたも鏡に映る姿を見ています
幸せなあなたを見つめている
幻の僕を
幻のあなたと
幻の僕と
それがたとえ合わせ鏡のように
永遠に続く幻であろうとも
いえむしろ幻であればこそ
あなたを忘れることができないのです
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