永遠の静謐
毎晩あなたの夢を見ます。
静かなティールームであなたと見つめあって、ただ静かにあなたと見つめあっている夢です。
あなたは優しく微笑んでやわらかな光に照らされて。
朝の光はいつのまにか午後の光に、そして夜の闇に溶けてあなたは、ただあなたの息遣いだけが聞こえて、そして僕たちは再び朝を迎えて。
ふたりはただ見つめあっているだけなのに、深く深く満たされていく。
目が醒めると僕はあなたから遠く、ほのかに蒼い静かな薄闇の世界に佇み、まどろむあなたの姿を思い出しながら、ひっそりと、息を潜めて、あなたの姿を探しています。
現実は現実を教えてくれます。現実のみが現実を教えてくれる。そしてそれらは、力強く世界を構築あるいは破壊してしまう抗い得ない『現実』に、人は、身を委ねていくしかないことを教えてくれます。
夢の中の雨はあなたを濡らし、僕を濡らし、見つめ合うふたりの体を冷やして、等身大のあなたが目の前に立っています。僕と同じ世代の、何も気取ることなく、優しくほほえんで、いとしい、素敵なあなたが。
あなたの姿は静かで、澄み切って、清らかでした。
あなたの瞳には、僕が思い描いていたとおりの、永遠がありました。
いつか夢の中であなたが弾いてくれたドビュッシーのノクターン。
何度も繰り返し、永遠の祈りのように聴いています。
あなたの、美しいあなたの幻は、きっと現実のあなたになるでしょう。
だから、ただ、ひたすらこうしてノクターンを聴いていたいのです。
静謐なあなたの魂を想いながら、あなたの瞳を見つめて、祈りながら。
ただひたすら美しいあなたの姿を抱きしめて、目を閉じて。
あなたの清らかな魂を求めて、僕は蒼く冷たい雨の中を彷徨うのです。永遠に。