表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/42

永遠の静謐





毎晩あなたの夢を見ます。


静かなティールームであなたと見つめあって、ただ静かにあなたと見つめあっている夢です。


あなたは優しく微笑んでやわらかな光に照らされて。


朝の光はいつのまにか午後の光に、そして夜の闇に溶けてあなたは、ただあなたの息遣いだけが聞こえて、そして僕たちは再び朝を迎えて。


ふたりはただ見つめあっているだけなのに、深く深く満たされていく。



目が醒めると僕はあなたから遠く、ほのかに蒼い静かな薄闇の世界に佇み、まどろむあなたの姿を思い出しながら、ひっそりと、息を潜めて、あなたの姿を探しています。


現実は現実を教えてくれます。現実のみが現実を教えてくれる。そしてそれらは、力強く世界を構築あるいは破壊してしまう抗い得ない『現実』に、人は、身を委ねていくしかないことを教えてくれます。



夢の中の雨はあなたを濡らし、僕を濡らし、見つめ合うふたりの体を冷やして、等身大のあなたが目の前に立っています。僕と同じ世代の、何も気取ることなく、優しくほほえんで、いとしい、素敵なあなたが。


あなたの姿は静かで、澄み切って、清らかでした。

あなたの瞳には、僕が思い描いていたとおりの、永遠がありました。


いつか夢の中であなたが弾いてくれたドビュッシーのノクターン。

何度も繰り返し、永遠の祈りのように聴いています。


あなたの、美しいあなたの幻は、きっと現実のあなたになるでしょう。


だから、ただ、ひたすらこうしてノクターンを聴いていたいのです。

静謐なあなたの魂を想いながら、あなたの瞳を見つめて、祈りながら。


ただひたすら美しいあなたの姿を抱きしめて、目を閉じて。


あなたの清らかな魂を求めて、僕は蒼く冷たい雨の中を彷徨うのです。永遠に。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ