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息を潜めて
きっとそこには生きているのでしょう
僕たちが言いつくせなかったいくつもの言葉が寄り添ってひっそりと息を潜めて
だからひとり寂しくなると僕は黙って静かに星空を見上げるのです
過去も現在も未来も、光も闇も、真実も嘘も
あらゆる現象と矛盾が巨大な宇宙の底知れぬ重力に浄化されていく
そんな気がするからです
孤独は哀しいです
でも、孤独でなければ人は人であることを忘れてしまいます
哀しくても、寂しくても、人はひとりきりでこの世から去っていかなくてはならない存在
だから人は人を恋い、空の青さにあこがれ、星の輝きに寒さを忘れ、風の中に詩を見るのです
だから、僕は孤独が好きです
あなたの魂といつもつながっている孤独が、好きです
体が消えても魂はきっと永遠にあるのだから
あの星の影にひっそりと息を潜めて
高原の窪地から見上げる夜空は星たちがありえないほどだくさん輝いていて
そこに異次元の何かが住んでいるような、まるで異空間に迷い込んだような、そんな気がします
じっと見ていると体も魂も蒸発してどこか遠くへ導かれるような
そんな不思議な感覚に陥るのです