いつの日か
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あなたは人への敬意という、人にとって最も大切な宝物を持っています。
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あなたは強い。人の強さは、人を見下すところにあるのではないと、あなたは既に知っています。だからあなたは決して挫けることはない。
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あなたの心情の豊かさを、素直さを愛します。僕はあなたからあふれ出る強い力を感じたのです。そして今も感じています。ただひたすらに、あなたの存在を感じます。
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おそらく、時がすべてを清らかに洗い上げてくれるでしょう。僕たちが互いに求めているのは愛されることではなく、愛し得る心。そうでしょう? こうしてあなたを身近に感じるだけで僕は本当に幸せなのだから。
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きっと僕は古いタイプの人間です。思慕、憧憬、あこがれ、情熱。そういうものを心に注ぎ入れていなければ生きていけない。
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夢、希望、愛、恋、友情……僕は多くのそれらのものを断念しなければならないでしょう。けれど、音楽は僕を見つけ出してくれるでしょう。
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今、ブラームスの二つのラプソディを聴いています。第一番の冒頭は、まさに古いタイプの情熱そのもののようにも聞こえます。音楽は僕に善も悪も求めません。
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あなたを失わないために、僕はこのラプソディを聴くのです。けれどあなたへの思慕、憧憬、あこがれ、情熱。僕はそれらの多くを断念しなければならないでしょう。
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それでもあなたは音楽に姿を変えて僕の前に現れるでしょう。きっとあなたは、あなたの魂は、僕を見つけ出してくれるから。
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互いに、静かに、思慕を胸に抱いて、涙もしまって、美しい日々を思い出すこともあるでしょう。
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いつの日か、清らかな気持ちだけを抱いて、あの青く輝く天上で逢いましょう。いつの日か。