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ルピナスの花





『自由の女神の裏側』


本当はそれは誰かが見せたい世界ではない

そう知ったのはいつだろう





僕たちが見ているのは知らない誰かが選んで切り取った世界

簡単に手の届くのは知らない誰かが見せたい世界でしかない





けれどそれはいつの時代も同じ

きっと古代ローマも今も何も変わらない





人々はいつのまにか蛮族に支配されていることに気付き

故郷を追われ、本も映像もすべて入れ替えられて偽物の記憶を歴史にされてしまう


これから先もたぶんそれは変わらない

けれど僕たちは偽りの世界に生まれてその世界の内側で生きて来たのだから

本当は誰もが誰かが選んだことに何一つ本当のことはないと薄々気付いている





けれど――――それでも僕たちは立派に生きていくことができる

たとえこの偽りだらけの世界であっても





ほんとうに信じることができる人がひとりでもいたら

僕たちはまっすぐ誠実にどこまでも正々堂々と生きていける


見えないことの中にこそ真実があると知る人がひとりでもいれば

僕たちは知らない誰かに選ばれ切り取られた偽りの世界しか与えられなくても真実の世界を生きることができる





心と心がつながっていると知っていれば

僕たちは何も恐れることはないのだから


すべての本を一冊残らず焼かれても

すべての歴史をさかさまにされても





たとえ善と悪のすべての意味を真逆にされたとしても

僕たちはたじろがない


僕たちは迷わない

僕たちは未来をあきらめない

僕たちは決して希望を捨てない





なぜなら

かけがえのない時間を共に過ごしたかけがえのない人の心の中にこそ

人間にとって本当に大切な「永遠の真実」があることを

僕たちは知っているから





永遠の真実さえあれば

僕たちは立派に生きていける


たとえ風に揺れるルピナスの花のように

何も語らなくとも















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