神聖帝国編7 創世神話
かつて世界は完全であった。
はじまりの神の名はアリル・マリルといった。
それは原初の神であり、完全神とも呼ばれる。
完全神アリル・マリルは善なる神アリルと悪なる神マリルの合一した姿であり、それはすべての相反する概念、二面性を内包し、統合する。それゆえに完全を意味するのである。
アリル・マリルはあらゆる自然と動植物を創造した。
それは完全の似姿であり、それゆえに世界は完全であった。
だが永遠の完全などというものはありえない。
やがて綻びが生まれた。
それは最初は小さな綻びであったが、やがて大きな綻びとなった。
それによって世界は不完全となった。
不完全から新たな神が生まれた。
その神の名はアルカ・ロンドといった。
アルカ・ロンドは不完全を象徴する神であり、それゆえに不完全を愛した。
アルカ・ロンドは人間を創造した。
人間は不完全の似姿であり、それゆえに不完全なのである。
完全な世界に不完全な人間が蔓延った。
完全神アリル・マリルはそのことに怒り、人間を滅ぼそうとした。
アリル・マリルの半身である悪神マリルより六柱の悪神が生まれた。
怒りを司るアクリマー
欲望を司るジャミ
堕落を司るマティアス
疫病をもたらすイルディネス
飢饉をもたらすリブリア
そして終末をもたらす三つ首の黒竜アジリオン
六柱の悪神により、地上と人間たちは災厄の坩堝と化した。
アルカ・ロンドは●●●●●●と、原初の巨竜イシュバーンを含む竜の軍団を創造し、アリル・マリルの悪神群に対抗した。アルカ・ロンドとアリル・マリルの永い闘争が始まった。
神々の闘争の最終的な勝者はアルカ・ロンドであった。
アルカ・ロンドはアリル・マリルの力を封じ、外宇宙へと追放した。
神々の闘争の余波で世界の大部分が失われた。
人間たちにはわずかな大地が残されたが、それも死滅する寸前であった。
アルカ・ロンドは愛する人間たちを守るためにその身をアルカへと変えた。
アルカはあらゆる生命と奇跡の源であり、アルカ・ロンドは自らアルカとなって大地の隅々に行き渡ることで大地を蘇らせた。
それゆえにこの大地はアルカロンドと呼ばれるのである。




