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A班(外)ファイル ― 門番は留守に鍵をあずける ―  作者: ぽすしち
(外)ファイル№06

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だれでもする勘違い


「これって、『ダンスホール』なんじゃない?」ゲイリーが指をさしてから眉をしかめ、ショーンをみた。

「 ああ。だから確認したんだ。ダンスホールだか《パーティー会場》だとかいう広い場所は、たしか・・・二階だっていってたが・・・」


 おれとトッドも、ショーンをみてうなずく。


「まって、こういうときはまず落ち着いて。 もう一度階段をのぼってみるっていうのはどう?」

 ゲイリーが提案するのに片眉をあげたショーンは背中にいれた鉄棒をなぜかさわってから、うなずいた。

「先頭はおれがいく。ゲイリーはうしろだ」

 《警備官》にはさまれたおれとトッドは、顔をみあわせながら、ショーンをゆっくり追う。



 階段をのぼりきったそのフロアには、ショーンたちがいた階と同じように、廊下を挟んで二部屋ずつドアがある。部屋番号のプレートは、ドアの真ん前に立たないとみえないほど小さいので、ここからだとわからない。

「 ―― みてくる」

 ショーンが一歩ふみだしたとき、右側の手前のドアがひらき、黒髪のあのガキ、『ケン』がでてきた。


「なにやってんだよ?集団で迷子みたいな顔して」


「まあ、ちょっと当たってるが、ケン、ここは、何階だ?」


「はあ?なんだよ、そいつらともう飲んでるのか?」トッドをみて、もしくはへんな煙草をもらったんだろ?といやなわらいをうかべる。


「 ―― ってことは。きっとおれたち、しゃべってるあいだに二階分おりてたんだね」ゲイリーがケンの部屋についたプレートをさしてうなずく。


「二階分?しゃべってるあいだに?」

 ショーンがうたがわしげにききかえすのに、じゃあ、もういちど上にいってみたら?とおこったようにゲイリーは腕をくむ。


 おれたちは、そのまま階段をあがった。


 ついたフロアは三階とかわらないが、ドアについたプレートを確認し、ショーンもゲイリーも自分たちがでてきた部屋をあけてみてさらに確認。階段を一階ぶん、みんなでおりる。そこでもドアプレートを確認し、また来たのかよ、というケンの部屋もあけてさらに確認して、また階段でおりる。


「ほらー、ちゃんと『ダンスホール』は二階にある」

 ゲイリーがほっとしたようにわらい、そのひろい空間へダンスをするようにはしりだす。


 ショーンはまだ腕をくんで階段をふりかえり、おれとトッドをみたが、トッドも勘違いだったな、と認めておれの顔をみた。

 納得いってないのは、ショーンとおれだけだ。



 だがおれは、これいじょう問題をふやしたくなかった。


「気にするなよショーン。勘違いなんて、誰でもするさ」

 ショーンは肩をたたいてわらいかけたおれに、裏切り者をみる目をおくってきた。






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