よく調べたので
中にはすぐ、みあげるような巨大なシャンデリアがさがった、みわたすほどの広さのラウンジがあった。
左奥に暖炉があり、こまかい模様織の絨毯のうえには、大きなソファがおかれている。右奥には受付らしきひろいカウンターがみえ、その後ろの棚には、部屋の番号プレートをつけた箱が並んでいる。
どれもみな、この建物といっしょに時代を積み重ねたものだとわかるが、薄汚れてはいない。シャンデリアの輝く粒など、まぶしいほどだ。
その受付にウィルがはいると、フロント係のように、箱からとりだした部屋番号のプレートがついた鍵を、ひとりひとりにわたしてゆき、みんな順番に、部屋へむかってゆく。
ロビーに残ったのはマックスとトッドだけになった。
「きみたちは、 ―― スイートルームに、二人いっしょにどうぞ」
わざとらしい言い方でマックスに鍵をわたす男は、ばかにしたような顔で指先につるしたそれをふってみせた。
気にした様子もなく礼をいって奪うように鍵をとったトッドは、つるさがったシャンデリアがいつ落ちてきてもいいように、カーブしてつくられた幅ひろの階段に足をかけてから、エレベーターは二階からだよな、とおれをふりかえる。
おれがこたえるより先に、「そうだよ」とカウンターにもたれたウィルがこたえ、「よくしってるみたいだね。 ―― ここのことを」
『ここ』を強調するように、カウンターを指でたたいてみせた。
「そりゃ、 ―― 『芸術品』なんだろ?調べたくもなるさ」
いまさらかくすつもりもなくなり正直にこたえて、トッドのあとに続いて階段をのぼった。




