あっさり通される
別荘にはいったら連絡をしろとダニーが言ったのは、そこからおれたちを捨て駒につかうつもりだからだ。
考えられるのは、おれたちに内部の写真をとらせたり、中の《警備官》たちの人数を確認させて、出入り口をたしかめさせてから、金かお宝のありかをききだせ、と命じてくることだ。
そのためにダニーはここまでの『備品』をおれたちに渡したのだろう。
だが、銃が三丁あるからって、おれたちになにができる?
建物の入口になる正面の木の扉はばかみたいに大きなもので、鉄の飾りがつき、重そうなそれがはたしてふつうに開くのかと疑っていたら、ぎい とふつうの動きでひらいた。
ドアを中からあけたのは、あの黒髪のにやけたガキだった。
「 ―― おい、冗談だろ?」
おれたちをみつけ、不機嫌な声でウィルにきく。
しかたなかったんだよ、とウィルが脇をぬけ、いいじゃない、とゲイリーがドアを押して子ども抱いたレイを通らせる。ショーンが肩をたたいて、いれてやれ、と命じるようにいうと、眉をしかめた顔のまま脇にどいたが、どうやって調べた?とおれをみた。
こたえようとしたおれのかわりにトッドが顔をつきだし、またしても小悪党らしい流れるようないいわけで、『たまたま』だといいはった。おれもそれにのっかることにする。
「この建物の《持ち主》には許可を得てるんだぜ?はいってもいいだろ?」
「 ―― べつに、入るなとは言ってねえだろ?」
ひどくあっさりとひきさがり、今度は素直におれたちを通した。




