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A班(外)ファイル ― 門番は留守に鍵をあずける ―  作者: ぽすしち
(外)ファイル№05

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52/168

《E》mpty

 

 途中のスタンドで給油したとき、キャップを閉め忘れたか?


 あわててさっきみたばかりのガソリンメーターに目をやれば、みるまに針が《E》のほうへとよっていく。


「うっそだろ」

 ゆきが積もる地面にはいつくばり、車の下をのぞけば、ぽたぽたと垂れる液体がみえた。車の後ろへまわってみると、タイヤとタイヤでつくられた溝のあいだは、ほんらいは車体の下になり雪はきれいに残るはずなのに、そこには、むこうからここまでずっと、液体が垂れ続けたあとが続いている。


「・・・そんなわけ・・・」


 スタンドで給油しているときには、ガソリンがもれる気配なんてまったくなかった。

 雪がふかくなった道でも、氷のように固まったところになんてのりあげていないし、ダニーから提供されたこの車は、そんなに古い型じゃない。


 どうした、とトッドもようやく車からおりた。


「・・・ガソリンが、もれてる」

「はあ?だってとちゅうでいれたろ?」

「そうだよ。だけど、あそこではなんともなかったんだ。そのあとかも」

「じゃあやっぱり、おれが床を蹴るもっと前からってことだな」

「そうだけど、 ―― 」

 そのとき、その音にきづき、こちらへ近づいてくる車がいることに気づいた。


 それは、荷台にほろをはった中型のトラックで、雪の降るこの中でも普通の速度で、どんどんと近づいてくる。



 トッドはおれが止めるよりさきに、そのトラックへ向けて両手をふってみせた。

「おい、やめろ。業者だとしても、前日に顔をみられるのはよくない」

 だが、トッドはおれをふりかえり、じゃあここからどうすんだよ?ともっともな疑問をくちにした。

「ほかの車が通る道まで、この雪道を歩いてもどるってのか?ありゃきっと配送業者だ。道に迷ったっていやあ、助けてくれるさ」

 おおきく両手をふりつづけ、トラックはおれたちのかなり手前でエンジンはきらずにとまった。



 高い位置にある運転席の様子は暗くてみえない。リアウインドウにはかなり雪がはりつき、ワイパーは動いていない。



 首をかしげたトッドは、みずからトラックへ近づいて行った。おれはなんだか嫌な感じがして、そのトラックに近づきたくなかった。










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