準備金
10.
そんないいわけで自分を納得させながら、今日も図書館にいった。
ホテルの建っている場所も、《だいたい》での見当はつけた。なにしろ、そのホテルには住所がない。どうやら、かなり山よりになるらしい。行くには当然、車が必要になる。
だが車を用意しても、おれたちはあいつらがいつ別荘にいく予定なのか知らない。
レイはもちろん、警備官たちの予定だって、確かめようがない(ためしにトッドが警備会社に電話してウィル・デ・サウスの休暇を教えてもらおうとして失敗した)。
ながい冬季休暇の、どのあたりなのかでもわかれば、車でたずねようもあるが、なにしろそのあたり一帯には、おれたちが泊って待っていられるようなモーテルなどない。いるのかいないのかわからずに毎日車で別荘まで通うのはいやだし、ちかくに車をとめて寝泊まりするのはもっといやだ。
だいいちそれだと、ここからのガソリン代や、車のレンタル料をかんがえたらかなり金がかかる。それを伝えたらトッドはすまして、自分はもうだせる金はない、といいやがった。
だが、そんなおれたちをみこしたように、きのうトッドの部屋のドアに、ダニーからの伝言がはさまれた。
『これで準備しろ』という命令と、近くのゴミ置き場に袋を置いたと紙にかいてあり、トッドはおれを置いて走りだして『袋』をとりにいった。もどってきて、袋をかざしながら、ダニーのやつは気前がいい、とほめた。にやけ顔がおさえられないトッドに入っていた額をきいて、おれはぞっとした。
あきらかに、つかまったときの口止め料がふくまれている。
トッドに教えてやると、悪態はついたが、とにかくこれはすぐに半分ずつだな、という声はうれしそうだった。
袋にはいっていた金額をおれに少なく伝えたぐらいで、満足できるんだから、やはりトッドは小物の悪党だ。




