ハエ程度のおれたち
9.
けっきょく、レイからそのあと連絡はなかった。当然だろう。
おれの連絡先を知ってるのは警察官と弁護士だし、レイとおれが接触するのをとめたい連中は、ほかにももっといるんだし。
だが、そんなことはトッドにも、あのあと事情をはなしてしまったダニーにも、関係ないことだ。
おれが事故で入院し、そこにアルゴスの息子だと世間でいわれるレイがいたことをダニーはとっくに知っていたようだが、むこうから声をかけられる仲になったとは驚いたと言った。そりゃおれもだ、というと、気にいられたんだな、といやなわらいをむけられ、それで、どうするんだ?ときかれた。
なにもこたえないおれに、不似合いな明るいカフェのテーブルでむかいあった男は、トッドはやるきじゅうぶんなんだろう?と続けてきく。
またこたえないでいても、ダニーはどうでもいいようにうなずき、ひとりで納得する。
「 ―― こんな幸運はないってぐらい舞い上がってるんだろうな?おまえをつかってゴシップ誌あたりから情報を集めて、どうにかしようとしてるんだろ? まあ、当然だな」
砂糖をやたらいれたコーヒーをのみ、ダニーはおかしそうにおれをみた。
「せいぜいハエ程度にたかって、いくらかひきだせるといいな。それより、 ―― なんのはなしをしてたんだ?」
「なんのって、まあ、具合はどうかって」
「別荘がどうとかってきこえたな。さそわれたのか?」




