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A班(外)ファイル ― 門番は留守に鍵をあずける ―  作者: ぽすしち
(外)ファイル№04

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一緒に写る男


 いいか、と突然声をひそめ、まわりをみわたすと、雑誌のきりぬきをテーブルに並べだした。

「みろ。こりゃ、あのマフラー男だ。そんで、いっしょに写ってるこの金髪はなんと、貴族の男なんだと!知ってたか?貴族なんてまだいるんだな」

 トッドは鼻で笑おうとして失敗したようなむせかたをして、重なった切り抜きを両手でひろげだす。

「みてみろ。この、ウィル・デ・サウスとかいう貴族の記事をさがすと、こんなふうに、マフラー男といっしょのところを何度も撮られてる。って、ことは、このマフラー男の『アルゴスの息子』だけじゃなく、おれたちは『貴族』とつながることもできるってことだ」


「・・・・なにできるって?」


「マーックス、おまえは『アルゴスの息子』を助けたんだ。まずは、あのマフラー男のところへ見舞いで顔をだして、慰謝料をひきだして、 ―― いやまてよ。親父であるアルゴスに直接会いに行った方が早いかもな。息子さんの様子はどうですか、って」


「むりだ」


「なに?」


 にやけた顔のまま、ききかえしたトッドに、もういちど、むりだ、と告げる。

「警察官たち・・・は、 ―― おれたちに依頼した女と、おれ、が、いっしょになってこれを仕組んだと考えてる」


「なんだって?だって、おまえは、マフラー男を助けたんだぜ」


「だめなんだ、 ―― あの女が、自分が突き飛ばすのに、その罪をなすりつける用に、白い毛糸の帽子をかぶる男をやとったって、自白してるんだ。だから、おれははじめからあの女の仲間で、マフラー男を助けたのは、すんぜんで気が変わったからだって、刑事たちは考えてる。 今だって、まだ警察官がおれのあとをつけてるかもしれないんだ」最後だけは本当のことだ。


 えっ!とさけんだトッドはあわててあたりをながめまわし、雑誌の切り抜きをつかんでポケットにいれた。

「なんだよ、クソ!」


「あの女、ちょっとイカレてるみたいだぜ。マフラー男と実際にはつきあってないみたいだし、捕まってもおかしなことくちばしってるみたいだし。ああ、でもそのおかげで、女が金をわたして尾行を頼んだ男とおれの特徴がちかってても、警察は疑わなかったんだから安心しろよトッド。おれは、おまえのことは警察官にはなにもしゃべってねえよ」

 グラスをかかげてみせると、口をまげたトッドはくやしそうに残った酒をあおり、テーブルにたたきつけるようにグラスをおいた。



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