半年おあずけ
まあいい、とマイクは弁護士にうなずきかけた。
「 これは、おまえが仕事をみつけるための支援金みたいなもんだ。おまえからは金のことでレイとは直接話せない。なぜなら、おれたちが見張ってるからだ。 いいか、まともに働くんだ。それを半年つづけたら、おれに連絡しろ。レイの仕事先やほかに連絡したりするなよ?すぐにそれを《ゆすり》だとみなして、ベインに伝えるからな。 ―― この金を無駄につかうな。それと、《酒場でぐうぜん居合わせた》やつに、おまえだけ金が手にはいったことは教えるなよ」
そんなこといわれなくてもわかってる。
だが、自分がとってきた仕事の結果を、トッドは知りたがるだろうし、中央通り近くのあの派手な事故は、かなりの注目をあつめたはずだ。ストレッチャーではこばれるおれをみていた知り合いがいても、不思議じゃない。
だまってその小切手をポケットにおしこむと、弁護士が、それじゃあ半年あずかるよ、とマイクの腕をたたいてでていった。
その背を見送っていたら、病院へおくってやる、と肩をたたかれ、つけたすように言葉をおくられる。
「 ―― あのじいさん弁護士をねらっても無駄なのはわかるよな?おまえにはこれからしばらく、あとをつける人間がつくだろうから、いい子にしてたほうが身のためだ」
ちくしょう。おれはやっぱり、ついてない。




