そいつか?
6.
釈放されたあと警察の建物をでたところにあの無精ひげのマイクが待っていて、「これからいっしょに病院に行く」とおれの予定などきかずに公用車じゃなさそうな古い車につれこまれた。
「レイが、おまえに感謝をつたえたいらしい。それと、そのまわりの人間もな」
「・・・『まわり』って・・・ギャングとかじゃねえんだよな?」
これにふきだした男が、うなずきながら、いいところをついた間違え方だ、とわけのわからないことをいった。
車がついたのはおれが運ばれた病院とは別の大きな病院で、駐車場には赤い髪の女がのっていたバイクがとまっていた。
こっちだと見張りが立つガラスのドアをぬけ、まるでホテルのような受付のあるひろいフロアからエレベーターにのり、直通になっているらしい上のほうの階でおりた。
廊下には、いやにたくさんの体格のいい男たちがたむろっていて、いっせいにこっちをむいた。
「そいつか?」
黒髪短髪のガキがすすみでてきて、にやけた顔でおれをじっくりみた。
「おまえ、ほんとツイてたな。レイを殺す方じゃなくて助けるほうで」
うしろにたまってる男の中のひとりが「ケン、やめろ」と命じたが、その命じた男もなにかいいたそうな目つきでこちらをじっとみている。
「とりあえず、さきにレイに会わせないと」
マイクがその男たちをなだめるようにいって歩き出すのについてゆき、ドアの前に移動した。




