よくやった
「・・・警察官のいうことなんか、信じられるかよ」
「そうか?なら、仕方ないが、おまえも今日から『治安部』が《赤い印》をつける人間の仲間入りだ。このさき死ぬまで、おまえの両親、兄弟、親戚や、一度でもかかわったことがある人物も、おまえといっしょに『治安部』にようすをずっとみられることになる。気にするな。知らない間に電話が盗みぎきされたり、個人メッセージがのぞきみされたりするだけだし、記録としておまえに関係ある人間の情報が、おまえの名前でここに残るだけだ」
こちらの肩をたたき、ほほえみかけてきた。
こいつも、さっきのマイクという警察官も、しっかりと顔をみているのに、《ついてるやつ》かどうなのかが、みえなかった。
こいつら、いったい何なんだよ
「・・・クソ」
くやしかったが、ポケットからまるめた札をだし、トッドから受け取った紙もわたしてやった。
ベインは、ほう、と口をすぼめておれの肩をたたいた。
「こりゃ、『信者』の手書きの地図だな?レイの行動予定時間も書かれてるな。よし。これからあの女の指紋がでれば、ひとりは捕まえられるぞ。でかした、マックス。ほかにおれに伝えたいことはないか?」
「・・・おれのことつきとばしたヤツの、特徴と、着てた服はわかるよ」
「あとは?」
「・・・車を運転してたヤツの似顔絵に、協力できる」
「ほんとか?」
「おれはハメられたんだ。仕事はらくなのに報酬がよかったんで、いろいろ気をつけてたんだ。そのおかげで、あのマフラーのヤツを助けられたしな。あいつに感謝されてもいいぐらいだろ?」
これに、ベインはよくやったというように何度も背をたたいてきた。




