急な気温の低下
ああ、とわらったマイクと柄シャツがあいさつを交わし、マイクはおれのことを「レイを助けたらしい」と紹介した。
へえ、とこちらをみた柄シャツの男は、驚いたことに握手をもとめ、『治安部』のスティーブ・ベインだ、と自己紹介した。おれもにぎりかえす。
「 あんたが常識ありそうで安心したよ。マックス・ウォーレンだ。おれは罠にかけられただけなんだ」
「なら、そのはなしをきかせてくれ。ああ、取り調べじゃないから、らくにしてくれ。お茶をのみながら、ゆっくり思い出してくれればいいんだ」
ベインのそのことばをきき安心したおれは、さんざんおどしてきた無精ひげの男をみてやった。
するとベインが急になにか思い出したように、「そうだ、マックス」とおれのことをよぶ。
「 ―― もうながいこと両親とは連絡をとってないし、職場の同僚もいないだろう?あー、トッドだっけ?そいつぐらいか。ほかには、おまえが一か月ぐらい姿をみせなくても、心配するやつはいないよな?」
「・・・・・・」
どうして、トッドのことまで?
きゅうにこの建物内の気温がさがったような感覚になる。
「ああマイク、ありがとう。あとはこっちでひきうけた。レイの見舞いに行ってこいよ。そうだな、あとで様子だけ教えてくれ。 さあ、マックス、ゆっくりはなしをきかせてくれるか?あと、もし、この仕事をうけたときに『渡された』もんがあったら、そいつもぜひ、みせてほしいな。 ―― 現金ばらいだろ?おまえはそれをいま持ってるか、どこかにかくしてあるはずだ。あとで返してやるから、一度こっちにわたせ」
最後のほうは、肩をくんだこちらの耳にささやきかけるものだった。




