証明してみせろ
どこの酒場だ?ときかれてるときに、すごい勢いでドアが開き、「こいつか?レイのあとをつけたやつは?」と怒りをあらわにした男がはいってきた。無精ひげで目の下に隈がある。サリーナが、ひどい顔してるね、とわらった。
「あとをつけてたが、『残党』じゃないようだ」
白髪がいうが、無精ひげはベッド横にたち、こちらの顔をじっくりとみおろす。
「だれに頼まれた」
「だから、受けたのはおれじゃねえよ」
「知ってることを全部話さないと、帰れないようにしてやる」
「はあ?あんた何いってんだよ?おれは、酒場で知らない男からっ」
いきなり、布団をはがされ、着替えろと命じられた。「医者がいうには、打撲だけですんでるらしいから、動けるだろ?」
「いや。 ―― 痛くて動けねえ」
「よく考えろ。動けるよなあ?動いて、ほんとうに『残党』じゃねえって証明してみせろ。証明できるまで、これからおまえを取り調べる男は、おまえをぜったい外にはださない。権利がなんだ?弁護士をつけたいって?あの男は、わらってそれを全部無視する。一週間でも一か月でもおまえはその男とにらめっこだ。ここで喚くか?それもいい。そうしたらおまえをちょっと特別な病院へ転送して、だれも見舞いに来ない病室での取り調べになるだけだからな。 いままで関係がなくて知らなかったかもしれないが、警察の中にある『治安維持部署』っていうところは、そういう取り調べができるところなんだよ」
さいごはわかるだろう?というように微笑まれ、おもいきり首をふったのに、けっきょくは着替えてその男と車にのることになった。




