赤色の髪の女
「連絡ありがと。あっちのレイはどうした?」
「あなたと入れ違いで運ばれたわ」
看護師の女はヘルメットをとった女とハグしあい、頭をうったみたいだけど、意識はあって話せたから平気だとおもう、とマフラー男のようすを説明した。眉をしかめそのはなしをきく女の、てっぺんだけ長く残して短くかりこんだ髪は、赤色に染められている。耳をふちどらるほどの数でピアスがひかり、革のジャケットに細いデニムパンツに古びたブーツ姿は、マックスになじみのあるたまり場の若者のような格好だが、警察官たちは大型バイクでつっこんできたこの女を気にしていないどころか、よおサリーナ、とあいさつをかわしている。
「こいつかい?」
いいながら顔をのぞきこんできたこの女も、《ついてるやつ》かどうかわからない。
きっときょうは、調子がわりいんだ・・・
黙ったままのおれに、赤い髪の女がいやなわらいをおくった。
「レイチェルがみててくれたおかげで、あんたはレイの殺人未遂犯から除外された。だけど、 ―― どうしてレイをおいかけてたのか、正直にはなさないと、釈放されても安心できないよ」
「 意味がわからねえよ。おれは突き飛ばしてねえんだからさ」
そのとき、むこうから女の金切り声があがった。
あたしはただ、見てただけよ!これから用事があるのよ!はなしてよ!
あの、マフラー男に道をきいていた女が、警察官につかまれた手を振り払おうとしている。だが、とりついた警察官たちによって、むりやり車におしこまれた。
それをわらってみていた女がマックスにいった。
「あんた、《ついて》たね」
冗談じゃねえ・・・。




