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《特別優待》

ここで終わりです

「それはともかく、あそこについた時点で仲間が縛り上げられてるのをみて、怒ったダニーが玄関先で仲間を撃ち殺して別荘の中はいって、ウィルたちのほかの顔ぶれをみて逃げて行ったっていう解釈には、おれは納得していない。 そもそも、外にケンたちがいたなら、絶対に捕まえてるはずだ。 ―― ダニーが普通のギャングならな」


「ギャングに『普通』もなにもねえだろ」


「おれは、ウィルのあの別荘には、射撃場に続く通路とは別に、かくされた地下室があるんじゃないかと考えてる。ダニーはそこの地下通路をつかって逃げたんじゃないか?」



 おれはマイクが心配そうな顔をしていることに気づいた。

 なるほど。あのホテルに、《中央劇場の下にある地下通路》がつながってると思っているらしい。



 おもわずわらいながら首をふる。

「 ―― ないって。ウィルだって地下室について否定しただろ?ジョーだっていたんだぜ?あの建物から出入りできる道は、あの道、一本しかねえよ」


 ここでようやくマイクは椅子の背によりかかった。


「そうだな。うん。いや、ベインの名前が耳にはいって、ちょっと心配になった。たしかに、心配しすぎか・・・。 そうか、ならいいんだ。あの道だけか。 きっとあの建物のためにつくった道なんだろうな。まっすぐ行ってもどん詰まりで先がないしな」



「そう、『どん詰まり』だけど、おれには先があった」


 あのとき、あの道と同じように、この先なんてもう終わったと思っていたのに、おれはいま、なかったはずの『先』にいる。


 トッドはいないけど。




 葬式には本物のいい酒をみんなにふるまい、レイが、あの別荘でトッドが注文した魚料理をまたつくってくれた。


 これをうらやましがって、トッドは『死者の休日』に戻ってくるだろうとジョーが言っていた。




 そうしたらなんとおれは、ちょっとみんながうらやむようなコネをつかい、トッドと会うことになっている。


 ジョーいわく、《墓守》がそういうことをしてくれるっていうのは、ありえない『契約』らしい。《特別優待》ってやつだ。




 その《特別優待》の『契約』の条件として、おれは、ジョー・ジュニアという三歳のこどもを遊園地へつれてゆくことになっている。




 いまからちょっと、楽しみだ。

 









目をとめてくださった方、年をまたいでおつきあいくださった方、ありがとうございました!

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