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A班(外)ファイル ― 門番は留守に鍵をあずける ―  作者: ぽすしち
(外)ファイル№16

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「たぶん違うだろうが、こりゃ、おまえのお客か?」

 ショーンがまじめな顔であふれる人々をめでさしてウィルにきく。

「ちがう、と言い切りたいけど、・・・あそこにジョーがいるんだよね」

 腕をくんだ貴族様は、スツールがついたバーカウンターをさした。


 壁のないそのひろい部屋は、この別荘の《パーティー会場》として見たときと同じように、天井からは等間隔で小型のシャンデリアが四箇所さがっているが、左奥にはテーブルがならび、ボックス席もいくつかあり、食事や酒をとっている人たちもいる。

 バーカウンター奥の窓際では小さな楽団が演奏していて、その音にのせ優雅に踊るペアたちが広い空間をまわっていた。

 時代が一気にさかのぼり、このホテルの全盛期をみているようだ。



 スツールからからだをまわしたジョーが、手をあげてこちらに合図した。


 ほらね、というようにおれをみたウィルが先にすすみ、彼の横のスツールにこしかけた。

「おまえは、じめからわかってたんだろ?」

 ウィルがつまらなさそうにきくのに、ジョーはカウンターにあるグラスに手をのばすことで返事をごまかし、おれたちをふりむいた。

「すきなものを頼むと、でてくる」

 グラスをかかげてみせ、くちをつける。

 飲んで平気なのかとおれがきくまえに、ショーンが手をあげた。

「おれは暖かいコーヒーでいい」

 頼んだショーンがウィルと反対側のジョーの横に座る。

 ジャンも、同じものを、といいながらウィルの横にすわった。

 おれもしかたなくショーンの隣のスツールに座るが、なにかを頼む気にはなれない。だいたいカウンターの中にバーテンダーもいないし、と思ったら、いつのまにか白い詰襟の制服をきた男がいる。

「どうぞ」

 どこからだしたのか、受け皿つきのきゃしゃなカップをショーンとジャンの前におく。コーヒーのいい香りがした。

 なんの疑いもなさそうにショーンがすぐ口をつけ、おれをみて心配するな、と微笑んだ。

「ジョーがすすめるなら安全だ」


 どうもこの男たちは元聖父を絶対的に信頼しているようだ。



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