不要なものしまい終わる
「 《 ほお。悪鬼のくせに、ずいぶんとこみいった物をつくれるんだな 》 」
「なんだてめえ?さっきからずいぶんえらそうだな。たかが《門番》のくせによ」
「 《 門番がどういう精霊なのか知ってるのか? 》 」
「そりゃあれだろ。さっきの《管理人》より門に近いところで門を見張ってるってだけだろ?だがよお、門をみてるだけなんて《管理人》より楽なんじゃねえか?門なんて動きもしねえし、だいたい何百年も閉まったままなんだろ?いったいなにを見張るって言うんだよ?だいたい、そのガキの姿はいったいなんだよ?ホテルの従業員のフリしてる《管理人》よりわらえるぜ」
「 《 ・・・それをこっちによこせ 》 」
「あん?ああ、なるほど。この粒をおまえにやって、おれはその扉にはいれるってわけか。だが残念。これはおれが『門』をあけるのに必要なんだよ」
「 《 そんなもん飲まなくても、おれなら『門』をあけられる 》 」
「まあ、《門番》ならそういうもんか。それならそっちのほうが楽そうだな・・・。なにしろこのクスリもまだ作り始めたばっかりで、おれはいまいち信用してねえんだ」
ダニーは指先の粒をジュニアのほうへはじきとばした。
それをつかんだジュニアはきれいなちさい歯をみせるようにわらった。
「 《 仲間に先をこされないうちに、おいつくといいな 》 」
「そうか!あいつら先にはいってやがったな」
さけんだダニーは真っ暗な闇にむかって走りこみ、とたんに扉が勢いよく音をたててしまった。
「 『不要なもの』はこれですべてでございますか? 」
《管理人》が、すこし微笑むようにジョーをうかがい、ジュニアのまえにゆき片膝をつくと、あの鍵のついた輪をとりだしてみせた。
「 《 ああ、しまい終わったから鍵でもかけておくか 》 」
そこにさがる、ひとつだけかたちのちがう鍵を、ジュニアはかわいい指先でつつき、にっこりとした。




